第9話 ML




そのMLは、楽しかった。

その子とだけじゃなく、グループの青年たちが

皆、真っ直ぐで好ましい人たちだ、と言う事とか....


(後で、とっても思いやりのある連中だ、と云う事も解るのだけれど)。



そして、毎週金曜日のミーティングも、また楽しいものだった。



どうして楽しいかと言うと....

僕はいつも、ミーティング・ルームに早く来ていたから

大体、その子と会う事が多かった。


狭い小部屋だから、二人きりで居ると黙っているのも変なので

いろいろと話をする事になる。



「暑くなってきたねぇ、あ、でも、寒いの?ひざかけ。」


その子は、冷え症なのか、ひざかけを手放せずにいた。

もう6月なのに。


でも、オフィースはどちらかというと冷えすぎているので

寒い、と言う女の子も多かったみたいだった。



だから、この小部屋に居る時くらいは、と

僕はいつも、冷房を止めてあげることにしていた。



彼女は、いろいろなことを僕と話した。

冷え性、と言うよりは病弱な事や

田舎から出てきてひとりで居る事、とか。


そうそう、料理がまるでダメだ、なんて事も(笑)



話しだすと、楽しそうににこにこ話すのだけれども

僕が話しかけないと、黙って俯いてしまっている子だった。


でもまあ、彼女にしてみれば、親戚の叔父さんくらいの年の僕だから

それは当然かもしれなかった。



僕だって、親戚の叔父さんに軽々しく話しかけたりはしないだろう.....



なんて,考えてると

すぐに他の連中が来て、その、彼女の楽しげな雰囲気は霧散してしまい

普段、オフィスで見る硬い表情に戻ってしまうのだった。



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