第4話 ハプニング



時々、そんな事があった。



それは、楽しいハプニングのようなものだったけれど


偶然がまた起こらないかな?なんて僕は

毎日を楽しく感じていた。













同じオフィス、とはいっても

別々のプロジェクト・チームにいるから


時々あるミーティングくらいしか

顔を合わせる機会はなかった。だから


その子の事をそれほど、印象深く覚えていは居なかった。



時々、コンピューターの事を聞きに来たりするくらいで....



そうそう、今、思い出した。


最初にその子に出会ったのは、コンピュータを使って

データ解析をしている時だった。


となりのワーク・ステーションに、その子が来て

ちょこん、と腰掛けた。


割と無口で、じっと21吋のディスプレイを見ていたので

僕も特に気にするでもなかった。



そうして数時間が過ぎた頃、春の日だったが

その子はすこし、寒そうな感じだったから



「あ、寒くないですか?」と

僕は、ふつーに言った。


隣に男の子が座っていたとしても、そう言っただろう。

コンピューター・ルームは寒いのだ。



その子は、硬い表情で、すこし驚いたように僕を見て


静かに「....いえ....だいじょうぶです」と、かぶりを振った。



切りそろえられた断髪がさらりと揺れ、

眼鏡の奥で、驚いていたような瞳にすこし、和らぎムードが見えた。



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