第8話 60

別に、輝彦は探偵を職業としている訳ではなく

やはり、正邪の区別をきちんとつけて置きたいと

思うので

誰に教わった訳でもなく、それは性分のようなものだ。


名古屋刑事もそうで、大人しく上司の言うとおりに

していれば楽に生きられるだろう。


厄介な性分で、輝彦などはその為に

職を転々とした。



長いものに巻かれろ、無理を通せば道理が引っ込む。


そんなことわざは大嫌いだった。



正しいものは正しいのだ、と思う。

悪をこそ排除すべきだ。



だが、現実は近年そうでは無くなってきている。

子供が徒党を組んで、仲間外れの子を殺めたりする。

職場で、弱い立場の者を虐めたりする。


そういう風習の大元は、例えば原発利権のように

自分たちの利益の為に、無理を通して

道理を曲げてしまう連中、つまり

かつての悪い自民党政権の者共であったり、官僚や

財界の連中、であろうかと思う。


そういう連中が、悪い手本を見せると

それを、悪い大人が真似る。


子供がそれを真似る。


悪循環である。


そうした物を芳しくなく思う。


社会を正すのは、男の仕事であると考える。





臼杵駅から、取材で石仏などの写真を撮っていると

信仰が、正義の礎になっていた時代もあるのだと

実感する。



大きな仏像を、崖の岩で。

一体、何故作ったのだろうと思うが

目前とすると、不思議と邪心は起こらず

ただ、安らぎのような感情を覚えるのが不思議である。



信仰は別にして、大きな物のそばに居る

安堵感のようなものだろうか、と思う。



世の中の礎もそうあるべきだ、と輝彦は思う。

戦闘するでなく、自然に安らげるように。



長閑な城下町、臼杵。

城の周辺は小高い丘があり、海沿いは

港町。

醤油や味噌の仕込み蔵がある、落ち着いた町で

幹線道路から離れているので、至って静かだ。





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臼杵から、大分へと戻ると

夕刻になっていたので、輝彦は

なんとなく、大分駅のコンコースに降りた。

改札横には

"eki no cafe"と言う、愛らしい喫茶店が出来ていた。

特急列車で、ワゴンサービスをする方が

店員だったりする、なかなか着眼点の良いスタンド。


家族的な、そうした施設がある事を微笑ましく思いつつ

踵を返すと、あの真智子の彼が

黙って立っていた。


特に、待ち合わせた訳でもない。


すこし、驚いたが、それでは、と言う訳で

また、8番線ホームへと上った。



ホームの端は、風が吹き

人があまり来ないので、話をするのに良い場所だ。

適当にノイジィなので、それも好都合である。




「自動車、お好きなんですね」と、輝彦は

自分もトヨタ・ソアラに乗っていると告げた。



意図を察知してか、彼は静かに「はい」とだけ。

海の方を眺めながら。



「研究所には、外人も多いのでしょう?」と

輝彦はそれとなく探りを入れる。



彼は、はい、そうですね。と言い

有名人もいましたよ、レースの世界の人とか。

などと、輝彦の意図を知っているかのように。



「深見さん、僕らは、犯人じゃない。

チャプマンさんらしき別人には会いましたけどね。

でも、真智子も会長氏も、殺し合う程は憎みあって

いない。清水氏は実権を失って、うなだれていたけれど。

でも、真智子の話では、彼女に愛を感じていたから

求婚した、と言う話で」




輝彦は、ちょっと驚く。

それならば、なぜ、勝俣家の親類を嫁に貰ったのだろう?




「20年、ずっと待っていたんだそうです。」

政略的に、結婚させられて。それは、勝俣氏の

意図だったと、彼は言う。


鵜呑みにするのは禁物だが、清水は

勝俣を脅していたのではなく、真智子に

好意を持っていたのだ、と言う。


力関係からすると頷ける話である。


勝俣は、社長を退いた後

院政を敷く為に、清水を身内に取り込んだ。


それは、成功したが

ただ、原発事故は誤算だった。



「ひとつ、伺っていいですか」輝彦は、静かに

素知らぬ方を向き....



「真智子さんは、生きているんじゃないですか?」



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輝彦の、その言葉には答えず、彼は

「僕らは罪になるのでしょうか」と

呟いた。



輝彦は、さあ、警察官ではないですけれど、と前置きして

「替え玉殺人を企てていないなら、罪に問われないでしょう、でも、本物の真智子さんは、身代わりに誰かが

死んで、平気な訳ないですよね」と

水を向ける。



彼は動揺し「本当に、真智子は知らなかったのです」と。


それでは誰が死んだのか知らないが

戸籍を失ってしまった彼女は、日本のどこかを

さまよっているのではないか、と彼は言った。


「危ないんじゃないですか」と、輝彦は言ったが


彼は「さあ、でも基本的に強い子だし、誰かが勝手に

身代わりになったのだから、自責の念は持たないでしょう、頼んだならともかく」と彼。



そういうものかな、と輝彦は思った。

東大出のエリート、なんてのは

そんなにドライなものだろうか。



しかし、そうなると。

国外逃亡した勝俣、清水と違って

真智子は居場所が無い事になる。


いずれ、戸籍の復籍を求める事になるだろうから

その時、替え玉殺人が発覚してしまう事になる。


一体誰が、何のために。

それを行ったのだろう?


捜査は、振り出しに戻ってしまった。





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「連絡して、戻るように言います」と彼は言い

8番線ホームの小倉方、端の方から

階段でコンコースに下った。


彼の背中を見送りながら、輝彦は思う。


一体誰が、あんな二人の人生を乱すのだろう。

でも、生きていて良かった、と思う。



...しかし、そうすると。

輝彦が最初に会った女は、果たして本物の真智子だったのか?


それとも、池田湖に浮いていたのは別人だったのか?


確定的なのは、遺留品その他の持ち物から

身元を特定した訳なので、意図的に替え玉殺人を

行った事になる。


そして、真智子の母は検屍について偽証している。

なんらかの意図を以て。


国家的な事実隠蔽に関与しているのかもしれないし、

あるいは「真智子の母」と称しては居るが


彼女自身が偽物で、替え玉殺人一味であるのかもしれない。


鹿児島県警から勝俣家に連絡して、電話に出た女が

母親を装ったのかもしれない。


検屍に来た人間に、身分証明まで求める事は希である。





ポケットの携帯が鳴る。


「はい、深見です」

電話の主は、名古屋刑事だった。


「深見さん、わたし、名古屋。静岡に来てるけど。

大した手がかりは無かったんだけどね。

面白い写真を見つけたから、メールで送る。

その女、池田湖の仏さんにそっくりだろ?

真智子の、本物の方だって。」





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ならば、池田湖で死んだのは誰なんだろう?と

写真をよく見ても、ちょっと見には区別ができない。



名古屋刑事は、また電話を掛けてきた。



「深見さん?わたし。名古屋。あのねぇ、どうも

池田湖の仏さんは、清水の嫁になった女みたいだね。

勝俣家の親類って事になってるけど、本当は

真智子の姉、に当たる人物で。

生まれてすぐ養女に出されたから、真智子は

それを知らないらしい。」


清水殺害事件の直後から、行方不明と言われていたらしい。


そうすると、実際には殺害当夜から旅に出ていた、と

言う事になる。



なぜか真智子を名乗り、サンライズ瀬戸で

九州に旅立った。


夜行で旅立たなくてはならない理由があった?




「そう、そこなんだよね」と、名古屋刑事は電話で話す。



勝俣・清水事件が替え玉殺人だったなら

事件の規模から言って単独犯ではない。


すでに国外逃亡している本物の、戸籍を抹消する為の

企てだ。



それは、電力利権の復興を図る政治的な謀略であろう。

都合の悪い過去の事件、電力会社反原発派女性幹部殺害事件の関与者を、捜査の網から逃す為だと

考えれば。



その際、もう清水に随伴する必要が無くなった

真智子の姉は、おそらく清水の真意を

結婚当初から知っていて、妹を守る為に身を挺した。



それは、ひとりの女としては寂しい人生であったろう。

しかし、妹を思う愛に満ちた生き方でもあったに

違いない。


輝彦はそう思った。


そう考えると、今回の行動には

ひょっとしたら、妹を庇う為の行動か。

或いは、妹と間違えられて殺害されたか。


または、勝俣の妻を名乗る不審人物同様

勝俣・清水の身代わり殺人事件について

手掛かりを知っていて、口封じに殺されたか。


その際、清水の妻殺害ではなく

勝俣の娘殺害とすれば、粉飾にもなり

捜査攪乱にもなる。

そして、民事賠償や、国家賠償の請求対象当事者を

無くす効果もある。


元々国策である原発の事故であるから

国家で賠償、つまりは国民に払わせようと言う

意図の政治家、例えば過日政権与党であった

自民党であるとか、利権寄りの官僚、そして財界であるとか。


そうした、利己的集団の意図であるだろう。



実行犯を暴いてみれば、何か分かるかもしれないが...。と

輝彦は思う。



名古屋刑事は「そう言う事件って、結構あるから」と。




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そんなにあるんですか、と言おうとした時

突然、高架ホームが地震に揺れた。


空気バネの列車は、ゆらゆら揺れる程度だった。


携帯電話のネットワークが混雑したのか

通話は途切れた。



大きな地震では無かった。

でも、原発事故の後は

いつも放射能の事を気にしてしまう。


ニュースや新聞などで、買収されたような評論家が

「原発は経済の為に必要」などと言ったりしているのを

見聞きすると、まだ、そんな事を、と憤りを感じる。



日本全土が、福島原発事故で汚染されてしまって

何万年も元に戻らなくなったと言う事を

評論家は知っているのだろうか、と思う。


原子炉の運転を続ければ、核のゴミが

どんどん出て、捨て場のない事も。



そして、これからの世代は

被曝による病変の恐怖に耐え続けなくては

ならない、と言うのに。



赤ん坊が、生まれてすぐ癌死したり

育てた子供がすぐ死んだり。


そういう悲劇が起こる可能性を増やすような物を

金儲けの為に使う、などと

国民は誰一人望んではいない。


なのに国策、などと言って奨めたのは

当時の自民党政権である。

アメリカの薦めあっての事で

核武装のため、とも言われている。


放射性廃棄物は、爆弾の原料になるからである。



国策とはいえ、電力会社経営陣として

原発を管理できずに爆発させた、社長と会長が

こっそり国外逃亡していた、などとは

まさか誰も思わないだろう。


それが、発覚する前に

殺された事にしてしまえば

世間の溜飲も下がるだろう。


それで、別天地での暮らしを手に入れれば

彼らの老後も安泰、そう、清水などは

退職金を7億円も貰う事で

世間から批判を浴びた。

その時「老後がありますから」と言い

更に批判を呼んだ。


そういう批判を、電力会社から交わすのが

目的のひとつでもあるだろう。



左翼系政党の政権は、既に関東電力の解体を決め

国有化した。

そればかりか、発電事業の全国的自由化と

送電事業の分離を実行する。


つまり、電力は、電話や国鉄などのように

民間の自由競争市場への転換が進められる訳、である。


関西電力などは、来年ボーナスの取りやめを決定した。

当然であるが、未だ関東電力は支給を継続している。

原発事故を起こした会社であるにも拘わらず。

そして、社長は退職金を7億円も貰うと言うのだ。


そういう批判をかわす為の偽装殺人、であろうか。




地震が落ち着いたが、列車が走り出すには未だ間があり

ホームには人が増えてきた。






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電力利権を取り戻そうとする人達は

その左翼系政権与党にも居たから

勿論、電力自由化が簡単に進む訳もなかった。



それで、政治が停滞した訳で

極右系知事が、領土クーデターを起こし

左翼系政権の転覆を図ったのも

それが目的である。


なにより、その知事の居る自治体は

関東電力の大株主だったのである。


政府の措置で、関東電力株価は暴落し

紙切れに近い存在になった。


そういうものを、電力利権を復興したとしても

元に出来る訳もない。



それは彼らも分かっているから

今度は、自然エネルギー利権にしようと

企んでいる訳、だ。



不要になった原発利権の遺物として

過去の事件と共に葬られたふたつの事件。



真実は未だ闇の中だ。







駅のアナウンスが、運転再開を告げる。

そう、生きている人間は動かなくてはいけない。



輝彦や、真智子たち

生きている人間は動くべきなのである。




とりあえず輝彦は、動き出した列車で

由布院の宿に帰る事にしたが


列車ダイヤが乱れたので、遅れている特急「ゆふ」の

乗車する事にした。



大分の人達は、空いている特急に乗って行こうとはしない。


比較的真面目に検札をする車掌の事を知っているのだろう。



東京あたりなら、隠れて一駅くらい乗ってしまう者も多いのだけど。


都会の雑踏は、ひとの罪の意識も曖昧に

してしまう。




織物の、瀟洒なシートをリクラインさせて

夕方の大分駅を、特急「ゆふ」は出発した。

床下エンジンの音を聴きながら、心地よい疲れに

輝彦は、少しうとうとと眠った。



なんとなく、指宿の旅を思い出す。


ゆったりとした温泉、静かな海岸。


取材だけでなく、保養で来たかったが

真智子の母と自称する女が、何故か訪ねてきて。

真智子の潔白を証明してほしい、と依頼。



今思うと不自然だ。

警察を嫌い、探偵でもない輝彦に

調査を依頼する。


警察を嫌う理由が何かあるのだろう。


名古屋刑事の話では、真智子の姉、は

生まれてすぐ里子に出されたと言う。


事情は、大方察しが付く。

江戸時代の将軍のように、側室が多数居ても

今は、一夫一妻であるから

側室の子は、あくまでも戸籍上は家族ではない。


関東電力の当時のトップが、そういう家族構成を

持つのは、イメージとして好ましくないと

判断されたのであろう.....。


もし、真智子が正妻の子であるならば

そういう問題は起こらない筈であるから


姉が生まれた時点で、正妻は別に居て

真智子の姉が生まれた時点では、真智子の母は

側室のひとり、であったのだろう。


そういう事は、割に近年でもあるから

驚く事でもない。



男が好色だと言う訳でなくても、女にもいろいろいて

好んでお金持ちに近づくタイプもいるのだ。



そして、本当の真智子の母と、真智子、姉に

血縁はたぶんあるだろうが


それが、勝俣の正妻、更に

輝彦に会いに来た女と同じ人物か否かは不明である。


それも、大物の男にはよくある事だ。


女同士は不思議なもので、庇い合うものであるから。


何れにせよ、自称真智子の母は

遺体を真智子であると偽証した。

或いは、誤認した。




夢現の輝彦を乗せた列車は、夕刻の久大本線を

西へ。


向之原駅に停車。




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普通列車でゆっくり巡りたいと思うような

のどかな風景は、夕暮れを迎え

旅情を誘う。


遠い山並みには、過日より

風力発電所が見えている。

太陽光パネルを備えた住宅も増えている。


何気なく眺めていたそんな風景が

意味を持って見えてくるのは、ひとの意識の

面白いところである。



それら施設が増える理由の多くは、発電して

送電して売ると言う考えによるもので

つまり、国策がそうなったと示すものだ。


だが、電力買い取りのコストは、未だに

電力消費者に課せられると言うおかしなシステムで

つまり、それが新たな利権になってしまっている。


ただ、放射能が出る訳でもなく、爆発する訳でもない。

そう、国民の視点が変わってきたのは、全て地震の為である。


自然には、さすがに傲慢な電力族も勝てなかったのだろう。



それで、世の中が変わってくれればいいと思う。


極右系知事が引き起こした領土紛争のせいで

中国での日本企業にダメージがあった。

経済活動に支障が出た。


その最中に国政選挙があったとしても

そういう人を支持する経済団体は少ないと思う。


結果は何れ現れるだろう。

あまり関わり合いたくないと思うのは

普通の日本人の感覚だと思う。


大抵の政治家は、損得勘定(大方自分たちの)を

考えているだけで、国民の事を本当に考えている人は

少ないだろう。


そして、そういう渦に巻き込まれたのが

彼ら、一連の電力関連連続殺人の被害者たちである。

簡単に替え玉殺人と言ってしまっても

真智子とその姉のように

因果関係がある場合はまだ理解の範囲にあるが

他の二人は、どこの誰とも分からない存在なのだ。


おそらく、国外逃亡し、殺されたふたりに関連があるのだろうと思い、それを調査して貰おう。


これも、兄に託すべきだろうかと輝彦は思考した。



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向之原駅で、多少乗降があったようで

自由席車両にも、人が入ってくる気配を感じた。


シートをリクラインしているので、自ずと仰向けになる。

通路を通る人に自然と視線が移る...。



乗客のひとりに、輝彦は目を疑った。

池田湖に散ったあの真智子によく似た、でも

幾分若くて大柄な、スポーティな顔立ちの人。



直感的に輝彦は気づく。それが、もうひとりの、

本当の真智子である事に。


気づいたはいいが、果て、どう話しかけたものか悩んだ。

姉の存在を知らないとなると、輝彦との交点は何も無いのだ。



しかし、事件は知っているだろう。ならば、

池田湖で自分の替え玉が死した事は分かっているだろうと思う。


そこで、思い切って輝彦は「あの、失礼ですが勝俣真智子さんでは...あ、いえいえ、怪しい者ではありません。

東京駅の日本食堂で貴女によく似た方と知り合いになった者です。深見と申します。」


と、座席についた真智子に声を掛けた。

幸い、付近に乗客はいない。




真智子は、驚いた様子で輝彦を見上げたが

眼を伏せ「はい、私....」と、言葉を詰まらせた。



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「僕は、あの方と指宿と、池田湖で再会したのです」と

それとなく言うと、真智子は視線を伏せたまま


はい。とだけ返答した。


池田湖の事件は認識しているようだ。と

輝彦は感じた。でも、それ以上聞く必要もない。

刑事ではないのだし、尋問するつもりもない。


「僕は、あなたのお母様から調査を頼まれたのですが

その課程で、大分にお住まいの研究者に会いました。

あなたと、お知り合いの」


真智子は「はい、先程、電話で。」とだけ

手短に答えた。


スポーツレディーらしい、簡潔な会話だ。

しかし、沈んだ口調はらしくない。


快活であってほしい、と輝彦は思った。



なぜ、この人を悲しませるのだろう、世の中は。




そう思うと、何も言えなかったが、ただ

「あの、僕に出来る事なら力になります、元気出して下さい」と言うと


真智子は、輝彦を仰ぎ「ありがとうございます」と

答えた。



そういえば輝彦も、今夜はディナーの予約をしていなかったので


「どうでしょう、宜しかったら由布院で降りませんか?」と

ダメもとで聞いてみると、意外にも真智子は

由布院ゆきの切符を持っていたので

じゃあ、ひとり同士でディナーでも、と軽く言うと

真智子は、はじめて笑顔を見せた。



列車は、湯平へ着く。



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