ほのぼの高校 11HR－24HR

第32話 フェアレディＺ

このハクは、高校を卒業したあと

フェアレディＺを買った。

当時だから、今で言うＳ３０である。

とてもいい奴だけど、ちょっと抜けてて。

そこがいいんだけど。

智治が「Ｇノーズつけろ」とか言うと

「金がねぇ」とか、にこにこして。

ポルシェ・シンクロで、シフトが重いから

１－２．

「よいしょ」

２－３

「よいしょ」

なーんて言ってたのを思い出す。

白いＳ３０で、８０年かな。

１３０Ｚが出たころ、中古が安くなったらしい。

こういう連中は、どーいうわけか・・・

高校の頃は、みんなＫＨに乗っていた。

７５０免許を取ろう、なんて気風は無かったみたい。

あんなに売れたのに、今、２００万とかしてるのは

なぜだろう、と思う。

音楽は、ハードロックが流行りで。

そう、１９７８年になるとヴァン・ヘイレンがデビューするから

それは、ハードロックが人気な訳だ。

僕は、ジャズ系が好きだった。

フクザツなメロディと、スケールが良かった。

暗い少年だったから、かもしれない（笑）。

ジョージ・ベンソンの「everything must change」なんて聞いて

歌詞の内容なんて聞いてなくて、タイトルだけで

みんな、変わればいいのにな、なんて・・・

閉塞状態の自分の境遇に置き換えてみたりして（＾＾）。

誰でもそうだと思う、少年の頃って。

で・・・そんな頃かな、ラリー・カールトンの「ルーム３３５」が出て。

その、明るい感じがなんとなく、良かった。

ロックギターって、単調なんだけど

これはそうじゃなくて。でも、ジャズみたいに暗くならなくて。

そこが好きだった。

そんなに難しい曲じゃないから、よく学校で弾いたりしてた。

軽音楽部は、部費払わなくて追い出されたけど

でも、出入りして時々そんなことをしていた。

でもギターは、あんまり上手くならない。

なぜか解らないけど、フレーズが浮かばない。

サックスはそうじゃなかったけど、その頃は

サックスって物凄く高かった。

確か８万くらいしたと思う。

当時の８万って、高卒・事務職の初任給くらいだから・・・・。

今だと２０万くらいかな。

そんなもの買えない（笑）。ので、これも、吹奏楽部の楽器を

借りて吹いてたりしてた。

貧乏で、乱暴な奴も多かったけど

今みたいに、病的にヘンなことをする奴は居なかった。

と言うか、そういう事すると

袋叩きにあったから、死んじゃったんだろうと思う（笑）。

今は反対で、いい人が死んでしまうのは・・・まあ、そうだろう。

僕も、勉強が出来る方だったし

女の子の友達が多かったから、それだけで

妬まれたし。

僕らの高校には、そういうのは無かった。

田舎だし、広いし。空気もいいし。

人も少ない。

オートバイだって、よほど悪いコトをしなければ

退学とかにはならなかったから

みんな、それで解放されてたと思う。

ＫＨのあのサウンドを聞いて、走ってれば

それだけで気持いいもんね。

まあ、ＫＨってバンク角浅いし

ステップが固定式なので、カーブは苦手で

マンホールのフタとかで、よく滑ってコケていた。みんな。

冬になると特に。

高校２年の秋は、そんな風に暮れて行った。

大学なんて考えもしなかったから、僕は気楽だった。

どっか、就職して、７５０を買おう。

免許取って。

そんな風に思っていた。

その前にＳＲ４００を買おうと・・・ノリちゃんたちと一緒に

ちゃんこ鍋屋さんでバイトしていて。

３１万円。

なぜか、４００はみんな３１万円だった。

ホーク２もそうだった。

ノリちゃんは、中古のホーク２を買って、もう乗っていた。

親から借金して。

借りる相手が居るといいよなー、と思っていたけど。

ＳＲは、出たばかりだから中古なんて無かったし。

なんでＳＲなのか？

と、思うが。

変わってて良かった。それだけだ。

単気筒はダサイ。

そういう事言う奴が居ても、敢えてそれを売るヤマハが好きだった。

（まあ、後で４気筒も作るが（＾＾；）

ずっと、それを作り続けた（途中で何度か中断してはいるが、休止である）。

のもエライ。

ＲＺを作ったのもそうで、「２stなんて」と言う人に

敢えてそれを出す。

逆らっているのではなくて、自由に考えて好きなものを作る。

売るため、じゃなくて。

表現だ。

やっぱ、楽器屋さんだなぁと思う。

（まあ、それだけに欠陥も多いが（笑）。

イタリアの車みたいなところがある、当時のヤマハは大好きだった。

今も、ヘンな３輪を作ったり、オフロード４ＷＤを海外だけで売ったり。

ヘンテコな奴。

そういう印象があるが、そこがいいと思う（笑）。