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「どう? プリン泥棒、探してもらえるかしら?」

「もちろんです。解決できるかはわからないですけど、ボクで良ければ手伝いますよ」


 謎解きに対してサナほどに興味があるわけではないが、困っている人を見捨てるような趣味もない。

 この部屋でじっとしていもサナにからかわれるだけだし、せっかく三年の先輩に頼ってもらえたのだ。


 サナが予言していたような謎ではなかったものの、シオンは依頼を受けることにした。


「ありがとう! あ、依頼料とかってあったりするの?」

「ないですよ。あくまで探偵同好会ですので、金銭のやり取りはしてないんです」

「そうなんだ……。それじゃあ、解決できた暁には購買か学食で何か奢ってあげるわ」

「そんな、悪いですよ。こっちもただの課外活動をしているだけですから」

「いいのいいの。部員内の不届き者を成敗してもらうんだもの。それくらい部費で出すわ」

「あっ……部費、なんですね……」


 食べられたプリンというのは十中八九三葉が個人的に購入した物だろう。

 部長の個人的な問題に対して部のお金を使用するのはいかがなものかと考えさせられるが、同時に三葉は気になることを言っていた。


「部員内の不届き者ということは、犯人はある程度絞れているんですか?」

「ええ、それじゃあまずは軽く事件の概要を説明するわ」


 三葉は傍にあった椅子を引き寄せると、机を挟んでシオンの正面に腰を下ろした。


「何から話そうかしら……。やっぱりここはあの写真からかしらね……」

「写真ですか」

「ええ、やっぱり写真部だもの。始まりは写真からあるべきだわ」


 その論の意味は分からなかったが、写真があることは喜ばしい。


 百聞は一見に如かず。

 何かしらの視覚的情報があった方が概要も理解しやすいはずだ。


「この写真を見てちょうだい」


 そう言って三葉はスマホを差し出してきた。


「あれ、写真ってスマホで撮影した画像なんですか?」

「そうよ。何か問題あった?」

「あ、いえ。プリントされた写真を想像していたから、ちょっと予想外で驚いちゃって」

「ふふっ、思音くんもまだまだ認識が前時代的ね」

「……え?」


 なんだろうか。

 いまさりげなく罵倒されたような気がするのだが。

 気のせいだろうか。

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