ボス戦1

 俺達が部屋に入ると扉は一人でに閉まり、光が無くなり辺りは真っ暗になった。俺が照明の魔道具を起動しようとすると、壁沿いに光が灯り始めた。


「そろそろ、ボスのお出ましだ」


 ゴーズの言葉と、ボスの出現はほぼ同時だった。突如そこに現れたのは黒い魔物、人の体に牛の頭を乗せたポピュラーなアイツ。ミノタウロスだった。

 俺達はゴーズを前衛に俺が遊撃、ルイが後衛でマイクがルイの守り兼中衛という陣形で挑むことになった。

 戦闘は単調に始まった。ゴーズが前に出ることで、ミノタウロスのヘイトを買い攻撃を受けた。ミノタウロスは手に持つバトルアックスを振り攻撃を仕掛けるが、ゴーズが大剣を上手く使い攻撃をいなしていた。


「よし、やれ!」


 ゴーズの合図で、俺とルイ、それからマイクは魔道具を起動し攻撃を始める。ルイは破壊力の高い魔道具で遠距離から攻撃を、俺とマイクはルイにヘイトが向かないように色々な角度からちょこまかと攻撃を加えた。


「おい、こいつ『氷弾アイスバレット』効かないぞ!」

「僕の攻撃も、あまり効果がないみたいです」


 思っていたよりも表皮が硬く、俺達の攻撃は有効打を与えられていなかった。「ちっ」と舌打ちをしつつ、打開策を考える。やっぱり、もっと火力が必要なのだという結論にいたり、俺は一度ルイの元へ引く。そして、魔改造『火玉ファイアボール』などの高火力な魔道具をルイに渡した。ルイは嫌がりつつも受け取り、それを構えると起動した。


「『火玉ファイアボール』!」


 放たれた火球は、一着線にミノタウロスに向かい着弾する。大規模な爆発が起こり、ミノタウロスは体勢をくずした。『火玉ファイアボール』を受けた表皮には焦げた跡があり、今度の攻撃がダメージを与えたことを教えてくれた。


「よし!いける!」

「いやいや!魔力消費が少し多いので長くは持たないですよ!」


 そういえば、そうだった。『火玉ファイアボール』の魔道具は魔改造を行ったことで、効率化を図ったとはいえそれなりに魔力を持っていかれるのだった。


「それじゃあ、短期決戦だな!」


 俺はそう言うと、魔導式拳銃を取り出しミノタウロスの目を狙い打ちした。放たれた弾丸はミノタウロスの右目を穿ち、それと同時に着弾した『火玉ファイアボール』がまた体勢を崩させた。すかさず、ゴーズとマイクが切り込みさらにダメージを与える。

 そこから、さらに追い打ちをかけていく。俺はとっておきの『鋼鉄槍アイアンランス』の魔導具を取り出した。『岩石槍ロックランス』を改造したもので、破壊力が高すぎるためお蔵入りしかけていたものだ。


「『鋼鉄槍アイアンランス』!!」


 俺はミノタウロスの足を狙って、魔法を放つ。放たれた『鋼鉄槍アイアンランス』はミノタウロスの表皮を削り取っていく。そこをゴーズとマイクが追撃し、ダメージを蓄積させていく。ルイの遠距離攻撃も加わり、ミノタウロスは反撃する余裕もないようだった。

 俺達は攻撃を続け、とうとうミノタウロスを立つことが出来ない状態まで追い込むことが出来た。だが、膝をついたミノタウロスの様子が変わっていくのを感じた。


「これ、やばいんじゃない?」

「まずいな。こいつ、スキル持ちだ」


 ゴーズの言う通り、どうやらこのミノタウロスは珍しいスキル持ちの魔物だったらしい。まぁ、隠しボスだしそのくらいはあり得るのかもしれない。


「何が起きるかわからない。一旦下がるぞ」


 俺達は一度、扉付近まで後退せざるおえなかった。俺達が下がるその間にも、ミノタウロスは変化しており黒かった体が赤黒く染まっていくのが見えた。


「あれは、きっと『狂戦士バーサーカー』だろうな」

「また、厄介だな」


 『狂戦士バーサーカー』は理性を捨てることで、自身の能力を大きく引き上げる厄介なスキルだ。

 俺達が手を出しかねていた数舜の内に、ミノタウロスは受けた怪我を無理やり直し立ち上がっていた。


『Uruuuuuu!!!!!』


 雄たけびをあげたミノタウロスは赤黒く光り、残った左目で俺達を睨みつけていた。

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