隠し通路
「一層二層は狭いが、三層からはそれなりに広くなる。その分入り組んでるがな」
「そうですね。地図を持ってきているので迷うことはないと思いますが、はぐれてしまったら大変そうです」
ルイの言う通り、地図を見れば迷うことはないだろう。万が一迷ってしまっても、三層にはそれなりに冒険者がいるので案内くらいしてもらえるだろう。
「とりあえず、四層目指して進んでくぞ」
「オッケー」
今回の探索はゴーズが仕切るらしいので、俺は後ろから新作魔道具を試しながら進むことにした。
「そういえば、お前そんな眼鏡してたっけか?」
「おっ、気がついたか!気になるか?気になるよな〜」
「いや、別にそんな……」
「仕方ないから説明してやるよ!」
ゴーズが気になるって言うから、仕方なく説明してやる。今回の探索に向けて作り上げてきた、新しい魔道具『看破鏡』。その名の通り『看破』の魔法が刻まれている眼鏡型の魔道具だ。
これを用意してきたのは、まだ発見されていない隠し要素なんかを見つけられたら面白いなー、という軽い理由だ。それも含めて説明してやると、鼻で笑われた。
「この
ゴーズの言ってることもわかるが、俺がわざわざ持ってきたのはちゃんと理由があるのだ。俺が作った『看破鏡』で使っている魔導回路は、俺のオリジナルのものだ。その効果は違和感をみつけることに特化している。
この魔道具と俺の『解析』スキルを合わせて使うことを前提に作っている。だから、今まで発見されなかったものも発見できるんじゃないかと思うわけだ。
「まぁ、好きにやれ。ただ、油断はするなよ。いつ、魔物が出てくるのかわからないんだからな」
「わかってるよ。そのための魔道具も用意してあるし」
「また、魔道具か。ちょっとは自分で頑張れよ」
「いいんだよ。これが俺の力だから」
ゴーズの魔道具嫌いはそのままのようだが、俺は魔導技師だから魔道具を使うのは当たり前のことだ。自分の力を最大限活用してると言ってほしい。
そんなことを言っていると、曲がり角に差し掛かるところで魔物を感知する魔道具が反応を示した。
「魔物だ」
「そうみたいだな」
俺が魔道具で魔物を発見したように、ゴーズも感覚的に魔物の存在を感知していたみたいだ。
その場で少し待っていると、曲がり角から狼型の魔物が五体現れた。待ち伏せしていたみたいだが、痺れを切らしたようだ。
「俺が前衛で攻撃を受ける。お前達は魔法を撃て」
「言われなくても、そうさせてもらうよ」
宣言通りゴーズは先頭で魔物の攻撃を捌いていた。やっぱり、それなりに強いみたいだ。なんて、関心してると「早くしろ」と急かされたので、魔道具を構え魔法を発動する。
「『
俺の放った氷の弾は、狙い通り魔物の眉間を貫き後ろの壁を穿った。貫通力を最大限上げた『
「なんてもの使ってんだ!!」
ゴーズが魔物を捌きながら文句を言ってきた。何に文句があると言うのか?「あぶね〜だろうが」だって?俺が狙いを外すわけがないだろ。
まだ文句を言いたそうにしていたが、まずは目の前の魔物を片付けることにするみたいだ。
「僕も行きます!『
ルイの放った『
「お前らどうかしてるだろ」
「なんでだよ!?」
「普通、
ゴーズはそう言いながら、俺が破壊した壁を指差していた。何を言ってるんだ?俺の魔道具が、壁ごときを破壊できないわけがないだろ。
そう言ってやると、ゴーズは何か諦めたような表情をしていた。なぜか、ルイも同じような表情を浮かべゴーズを慰めていた。
***
そこから三層を次の層に進む階段を目指して進んでいった。途中でも魔物と出会ったが、俺とルイが魔道具を使って蹴散らしていった。ゴーズが何か文句を言っていたような気がするが、問題ない。
もう少しで階段に着くというところで、俺の『看破鏡』が反応し始めた。そこは何もない曲がり角だった。
「ここに反応してる」
俺がそう説明すると、ゴーズは何もないぞと壁を軽く調べていた。俺は『看破鏡』が反応した壁を、『解析』スキルで調べてみた。すると、壁の奥に通路が続いていることがわかった。
「それがわかったところで、壁が無くならなきゃ進めないぞ」
ゴーズの言う通りだ。軽く調べてみたが、壁を開けるような仕掛けは無いみたいだ。だから、力技でこじ開ける以外に進む道はないようだ。
「しょうがない、壊すか」
「そんな簡単に行くかよ」
俺の言葉にゴーズがケチをつけるが、気にせずに準備する。取り出したのはさらに改良した『
「少し下がってろ」
俺はルイ達を後ろに下がらせて、魔道具を構える。隠し通路がある壁に狙いを定め、防御用の魔道具を起動させる。
「おい、大丈夫なのか」というゴーズの心配そうな声が聞こえてきたが、知らんと言って黙らせた。
「行くぞ!『
俺の放った『
しばらくして粉塵の収まった壁を見ると、隠されていた通路への道が開けていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます