決闘準備
レイアによる突然の決闘の申し込みに驚いているルイ。ただ、俺はいまいちピンときていなかった。そもそも、決闘がなんなのかよくわからない。
「決闘って何のことだ?」
状況がよく理解できないので、俺はレイアにそう聞き返した。すると、レイアは高笑いをしながら「そんなことも知らないなんてな〜」と馬鹿にしたように言った。
「決闘の決まりにもあることだ。仕方ないから、物知らずな貴様に説明してやろう」
レイアは決闘の決まり事を簡潔に説明していく。まず、殺しは無しで立会人が勝敗を決めるということ。それから申し込まれた方が日時を指定し決闘を行うこと。
「そして、決闘におけるお互いの賭けをきめることだ。もちろん、私は貴様の城からの永久追放を要求する。どうせ貴様が勝つことはないが、要求は一応聞いておこう」
「それって、なんでもいいのか?」
「ああ。貴様の好きにしろ」
「それなら……。お前、俺の雑用係になってくれない。今、人手が欲しくてさ」
レイアの要求は予想通り、俺とクレアが接触できないようにするものだった。それに対して、俺は雑用係になってくれるように要求した。最近、魔導具研究をする時に人手不足を感じるようになっていたので、ちょうどいいから賭けで要求してみることにした。
***
方や永久追放、もう一方は実質奴隷。賭けの要求として釣り合っていないが、この場にそのことを判断できたのはルイだけだった。そのルイもいきなりの決闘の話に気を取られ、そのことを指摘できなかった。よって「いいだろう」というレイアの返事により、賭けは決まってしまうのだった。
さらに、レイアの提案により決闘の話はよりこじれることになった。
「貴様は魔導技師だったな」
「ああ、そうだ」
「私は聖騎士だ。戦闘職と非戦闘職では強さに差がありすぎる。それに、レベル差もあるしな。だから、貴様にハンデをやろう」
「ハンデ?どんなものだ」
「この決闘において『魔導具の利用を許可する』というものだ。どうだ、このぐらいのハンデはいるだろう」
本来でればこの程度のハンデで非戦闘職が戦闘職、それも上位ジョブと呼ばれるより強力な相手に勝てるはずがない。だが恵の場合、周りの被害を考えなければ確実に勝てるレベルの魔導具を所持している。そのため、思考を再開したルイはすぐに恵を制止しに動く。
「恵、ダメですよ。魔道具を無闇やたらに使っては。貴方が持っている魔道具は危険すぎます」
「そう言ってもな。魔道具無しじゃ、俺勝ち目ないし」
「なので、制限をきちんと決めてください。周りに被害が出ないように」
ルイの助言に納得した恵は、レイアと共に決闘のルールを決め合意した。そして、恵の指定により日時は二週間後と決まった。
「せいぜい、この二週間で悪あがきをするんだな」
「死なないように防具を手入れしとけよ」
レイアの去り際の嫌味に、本当に起きそうな危機への備えを返す恵。
こうして、突然のレイア襲来から決闘の開催が決まった。二週間後の決闘はどのようになるのか。ルイの心労も増える一方であった。
***
恵たちが決闘の話をしている訓練場。その隅で彼らを覗き見る影があった。
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