第5話 天使と悪魔そして部活
「で、侵入行為をやめていただきたいと?」
意外にも、あっさり夢咲は話を受け入れる感じになって来た。これでこの部活ぬも平和が訪れ、これから大阪府の高専の大会につながっていくのだろう。中学校の時の上宮みたいにこれから強いところと当たっていくのだろうな…
「ええ…部の雰囲気も悪くなりますし、何しろこれから高専の大会がありますので士気の低下に繋がりかねませんし」
意外にも落ち着きながら、氷見谷は夢咲に向かって言った。よく言ってくれたよ、ツン天!ありがたや…ありがたや。
「なんでですか!前世から私と先輩は結ばれる運命で…」
「はいはい…どこぞのネットの掲示板のスレかな?そしてここは埼玉県ではないしさ、終わりだ終わり!」
俺は話が膨大なものになるのを感じてしまったので、話を遮り無理やり終わらせようとする。ここまで来たら2ち…という氷見谷が知らない次元になってしまうし、俺もそれ以上ついていける気がしないからだ。
「いでよ!
そう言いながら俺はサーブを打つと、ボールは不規則的な回転をしてサービスラインへと飛び込んでいき地面に小規模の穴を開けた。
普通の人なら驚くどころかビックリするだろう…これは俺限定の俺にしか通用しない説なのだ。
それは"中二病…いや詠唱をしてサーブを打つと一〇〇%サービスゾーンに入って、なおかつ異常なほどのスピードじゃないのか?という説"
そして俺は中学校の時通用してしまい上宮の二番手と戦った時、ものすごく笑われたがチート並みのボールを打って圧倒的快勝をした…が、その時俺はこう思った。
『ダサすぎないか…?そして意味があまりないじゃないのか?』と
なので3年に入ってからはあまり使わなかったのだが、箕土屋先生はその時の大会を見にきていて圧力…まぁ使うことになったというわけだ。
「うん…おかしすぎて話にならないな。どうせならうちより普通の高校に行って磨けばよかったんじゃないのか?」
箕土屋先生は俺のフォームを見て言う。俺は気づかなかったのだが意外にもフォームは完全体に近く、意外にも理想どころか海外の選手が愛用しているフォームらしい。
「個人的に高専が良いんっすよね…どこぞのアニメの主人公みたいにメカトロニクスを学びたくて」
「それってなんだ?私の世代じゃわからないな…」
箕土屋先生は俺が出したあのアニメがわからなかったようだ。あのアニメ有名だったのになぁ、主人公が俺tueeを作ったと言っても過言ではなかった作品だったのに…
「ちなみになんだと思っています?」
「なんちゃらモンスターかな?あの何期かのキャラがロボットを…」
「ダメです!そして全然違いますって」
箕土屋先生はどうやらアニオタの知識が減っているみたいだった。今度アニメイトに連れていってあげよう。
「みんな、部活を終わらせるぞ!ボールはあるか?」
俺は大きな声で叫んだ…これでボールがないのが良いんだが、そこまで現実は甘くない。テニスという競技の事情上、どうしても一球は無くなってしまうのだ。
「先輩!ボールがありません!」
一年の後輩…桜坂がカゴを持って叫んだ。まぁ普通なんだが、どうやらみんなは持っていなさそうだし飛ばしてしまったか?
「ありました!でも更衣室の屋根に乗っかっていて届きません!」
大きな声で続けて夢咲が叫んだ。アレは秘密の通路から通っても届かないな…肩車しなければダメな高さだろう。
「先輩!私を肩車してください!」
夢咲が俺に向かって叫ぶが、俺は流石に厳しいと判断した。一.二mの高さで半地下なのだが、夢咲は身長が140cm…これは高いやつが登って俺が支える方が早いし、楽だな。
「氷見谷来い!支えるから屋根に乗ってくれ!」
俺がそう叫ぶと異常なほどの速さで、氷見谷はこちらへと走って来てくれた。さすが100m14秒台…やるな。
「岸中…しっかり支えてくれているよね?私高所恐怖症なんだけど!」
「大丈夫だ!支えているし、それほど高くないぞ!」
俺は不安で高さに怯える氷見谷に」、そう優しくアドバイスをする。もし落ちても俺がアレをすればなんとかなる!
「拾った!降りるよ?」
不安になりながらも、氷見谷は屋根から降りようとする。が、踏み外してしまった。このままでは足がコンクリートに叩きつけられる事態になりかねない。
「キャッ!岸中しっかり受け止めてよ!」
「任せとけ!」
落ちた氷見谷を俺は落ち着きながら、お姫様抱っこをする形で受け止めた。
みんなは俺に拍手をし始めた。そして氷見谷は頬を赤く染め
「ありがとう岸中!大好きだよ」
と耳打ちを可愛らしい声で、俺に言ってくれた。氷見谷まじ天使!デレているのも良いな…
そしてその様子を夢咲は口をとんがらせ『むーっ』としていた。面白くなさそうに…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます