第6話 「帰宅…そして食事会への道」
「よし…これで部活は終わりだ。みんな気をつけて帰るように」
箕土屋先生の合図によってみんなは、駅や咲洲の方へと散って行く。個人的には最近、大洲に出来たばかりの大洲駅からずっと梅田の方へと乗って行った方がいいと思うのだが、誰もまぁ共感してくれないのでちょっと悲しい。
「「
夢咲と氷見谷が同時に誘って来た。もちろんどっちも断れるわけでも無いが、向こうからしたらどっちかにしてほしいに決まっているはずだ。
「なら、二人とも一緒に帰るか!どうせ、うちによってご飯食べるだろ?」
「「うん!」」
『あぁ良かった…なんとか2人とも仲良くさせながら、帰れそうだ。』とそう思いながら駅の方へと俺たちはゆっくり歩き始めた。
新興住宅街を通り抜けた先に、JR大洲駅がある。大洲自体が最近…正確に言えば今から三年前の二〇二七年に出来たばかりで、そもそも人口がまだ少なくこの高校ぐらいしか学校がないので小学生は、大咲大橋を渡らないと小学校には行けないのだ…
そして行くにしても二〇分はかかるのでまぁ大変だ。
そんな大洲に最近できたのがJR大洲駅だ…これがなければ大洲住みの方々は通勤や、通学に困っていたままだったが第二環状線計画が二年前に実行。それを機に作られた高架式の駅は、まだ出来立てホヤホヤ感をすごく醸し出していると言っても過言では無いだろう。
チャリンっありがとうございますと無愛想な機械音声が俺たちを歓迎する。
俺たちは梅田方面へ行きたいのだが…どうやら10分間は待たなければならないらしい。
「はぁ…疲れた。私も岸中と同じマンションに住めば良かったな」
氷見谷は重いバックを自身の座る横の椅子に置くと、ため息を少しついた。
氷見谷はとある事情により一人暮らしをしているのだが、そんな彼女が選んだ場所は駅近のマンションの一室だ。俺の家からも五分とまぁ近いと言えば近いのだが、なぜか俺と同じマンションに住みたいそうだ。
「へへっ、、私は先輩と同じマンションの二階ですし、すぐに行けて帰れますから!」
夢咲は誇らしげに胸を張ると、えっへんとでも言いたげにそう言った。
いや、見えないだけでそんな効果音が聞こえてくる。かなりの重症になっているな俺。
「まもなく、一番線に快速が入線します…危ないですから黄色い線の後ろでお待ちください…」
男性のこれはまた無愛想な機械音声が、構内に響いた。ワイヤレスイヤホンやVR機器をつけていた人もアナウンスに気づいたのか、直し始めていつでも乗れるように準備を始めている。
「なら乗るぞ!どこで降りるかわかっているよな?」
俺がそう言うと二人は同時に、コクンっと頷き電車が来るのを待つ。
そして大阪環状線を使う方に馴染みのある音声がなると、ゆっくり快速は入線して来た。
どうやら最新型の210000系のようだ。まぁまぁ広いしフリーWi-Fiは勿論の事、百%乗れることが売りのその赤い列車は、煌くボディーを見せながらゆっくり停車した。
先に大量の学生や社会人の方々がぎゅうぎゅう詰めで降りてくる。これが最近観るようになった光景だ。そもそも駅ができていなかったり、この島が出来ていなければ見ることはなかったどころか、別の高校に入学していたから一切縁がなかっただろう。
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