第4話 「大橋夢咲はヤンデレ小悪魔の変態」

「おい、夢咲。お前…ヤンデレ小悪魔じゃなかったのか?」


俺は着替えている途中(Tシャツだけだが中途半端)だと言うことも忘れて、夢咲にそう確認する。これはとても大事な問題だ、受験を超えるとてつもないほどの。


「ええ、?ですけど先輩が好き過ぎるあまり、ちょっと抱き枕にしたいなぁとか、ちょっとだけいじめたいな…とか考えちゃって変態も極めちゃったんです」



ありのままに起こったことを話すぜ。俺は夢咲が普通の日本一の美少女で、ヤンデレを極めちゃった小悪魔だと思っていたんだ。だがそれが本人曰く、よくわからないことを俺に言って来たんだ。そして夢咲は色々とアウトだとも取れる発言を繰り出して来た。


______________俺はどうすれば良いんだよぉ!?







「どうしたんですか?先輩。もしかして、付き合いたいとかキスしたいとか思ってましたか?」


そう言いながら夢咲は自身のTシャツに手をかける。ヤバイこのままだとその胸が見えてしまうし、夢咲が俺が変態だとか変なことを言ってくるとこっちが困る。





変な展開になってしまいそうだと察した俺はすぐさまドアに手をかけたが、


「くそっ、なんで閉まっているんだよぉ!」


「なんでって…先輩が私から逃げれないようにするためじゃないですか❤️」


夢咲はヤバイ発言をして俺を追い詰めて来た。そしてドアが開かないので俺は一方的に閉じ込められたのだ。これこそが袋の鼠っていうやつか…解せぬ、解せぬぞ!


「ほぅら先輩、我慢できないなら触っちゃって良いんですよ?❤️」


ヤバイ…こうなったら使。そう、。先代の先輩達が、先生や女子から逃げるために作られた通路…そこしかない。



「すまん…夢咲!」


俺はそう言って彼女を優しく押し倒すと、近くにあった梯子を手に取る。

そして隠し出口がある天井付近まで持ってくると、梯子をかける。


「先輩、逃げないでくださいよ!」


おっと夢咲がラケットを取り出して、狭い更衣室内を走って来たな。狭いし、厄介だしその上すばしっこい。


これで、終了だ。チェックメイト荷物も持ったしな。」


俺はそう言って天井の金網をこじ開けると、希望と自由に満ち溢れる外へと出た。急いでバレないようにどこからか降りなければ、命の保証はまだない。


「しょうがないか…よっと!」


そういうと同時に一.二m弱の高さから飛び降り、うまく着地をする。

これはヤンデレから逃げる大会で優勝できるレベルなのではないのか?

全日本…いや、下手したら世界制覇も夢ではないな。




「岸中…遅かったじゃない。で、あの後輩に今日も?」


頼みの綱であるツンデレ天使。又の名をツン天こと氷見谷は、俺に不安そうに聞いて来た。いつも彼女に相談に乗ってもらっているので、過去のデータは全て話している。


「あぁ…だが今回は過去の経験から見て違うかった。なんと、胸ちら寸前」


と俺が言いかけたとき、氷見谷の目に殺気が浮かんだのが分かった。圧倒的にいつもと違う目…そうだな好きな人を思う感じがするような、しないような。俺の勘違いかな?















「先生、また夢咲が男子更衣室に侵入していました。ちゃんと注意していますか?」


氷見谷は呆れながら、先生に問いただした。また…というが今回で35回目で、1ヶ月で20回あまりである。つまりほぼ部活がある日は毎日、侵入していることになるのだ。



「言っているんだよ?言ってもさ、『岸中が好きだから、他の女が接近してくるか監視している』とか『岸中先輩と私は結ばれる運命なんです!邪魔しないでくださいね!』だの『先輩が私の胸を見て来たからです!』だの言ってくるし注意しても聞かないからさ、お手上げ状態よ」


箕土屋先生は氷見谷の質問に対してそう回答して来た。もうあいつヤンデレと言う次元じゃ済まないぞ、痛過ぎるという最高峰の次元になったぞ。




「なら…部活から排除してくださいよ!」


氷見谷はさっきよりも、大きな声を出して先生に向かって言った。排除か…良い意見でもあるが、悪いものでもあるな。


「氷見谷…気持ちはわかるが、


箕土屋先生は言葉を濁して、途中小さく言いながらも言った。先生が言葉を濁す意味を俺は察する。確かにこれは言葉を濁しかねないな、俺でも流石に言わないレベルだぞ。


「箕土屋先生、あなた先生でしょ!生徒のためにしないと!」


氷見谷がヒートアップして来たところで、俺は決心がついた。


「すまんが、氷見谷。


俺は氷見谷に対してそう語りかけた。諭すために、部活のためにも。


「なんでなの?」


「なぜならこの部活は一昨年できたばかりだからだ。4。つまりこの部活が良い成績を出さないとダメだし、人数もいなければならない。ところが3年生はいなかった…。去年までは6年生がいたからなんとかなったけどな。」


俺は氷見谷に夢咲がいなければならない理由を話した。まぁ俺が注意をして、再発防止に取り組もう。


「分かった…でもあの子にはちゃんとわからせないと」


「分かっているよ、話に行こう。部長の俺と副部長の氷見谷で」


俺は部活の前に話に行くことにした。

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