第45話 弟子、棋譜の書き方を知る
先週から質問したかったことを遥香は聞けた。
内容的には大満足だったが、帰宅後にまとめていると新たな疑問が出て来そうで、ここで納得して良いのか、ちょっと迷っていた。
そんな遥香の迷いをよそに、よろずのは今日の本題に入ろうとしていた。
「じゃ、今日の本題。棋譜の書き方に入って良いかな?」
「はぁ・・・。」
よろずのは優しく言ったが、遥香は迷っていたので、煮え切らない返事をしてしまった。
そのことに気付いて、遥香はしまったと思ったが、もう遅かった。
よろずのが、怖い顔をして、睨んでいるように見えたのだ。
「ほら、萬野くん、顔怖くなってるよ!ハル、大丈夫だから。萬野くんは睨んでるんじゃないから。」
「えっ、オレの顔、怖い??」
「真剣になると、まだまだ怖いよ。」
笑いながら結衣が言うと、よろずのも表情を崩した。
「今、ハルが中途半端な返事だったから、何考えてるか、表情から読み取ろうとしたでしょ。」
「うん。」
「そう言う真剣な時の表情は怖いから、気をつけるようにって前に言ったでしょ。」
「いや、気を付けてたつもりなんですけど。」
「まだ怖い!」
「あ、スミマセン。」
結衣に言われて、よろずのは申し訳なさそうに言うのを見て、遥香はホッとした。
「いや、あのぉ~、ここで納得して良かったのかなぁと思ってたんです。もっと、聞いとかないといけないような気がして・・・。」
「聞きたいことがあったら、いつでも聞いて良いから。」
「はい、ありがとうございます。」
よろずのがこう言ってくれて、遥香は心がスッキリした。
「じゃ、始めるよ。今日は、棋譜の書き方、作り方だったね。」
「はい。」
「ここは、ちゃんとノートに書き留めてね。」
「はい。」
言われた遥香はノートを取り出して、書き留める用意をした。
投資の棋譜。
まずは、買った年月日と時間。
それと、成り行き、指値、寄り指値、指値引け成り等の注文方法。
買った株の株価と株数。
持続予定日数。
最後に、買った理由。
次に、売った年月日と時間。
それと、成り行き、指値、寄り指値、指値引け成り等の注文方法。
売った株の株価と株数。
持続日数。
最後に、売った理由。
最後にチャート。
日足の場合は、買った日の前最低1ヶ月、売った日の後最低1ヶ月が含まれてるもの。
よろずのが1つ1つ、ゆっくりと言ってくれたので、遥香は問題なく書き留めることが出来た。
「1枚の棋譜を作るのに、最低でも2ヶ月要るんですね。」
「うん、だから、同時期に複数銘柄の棋譜を作って良いんだよ。」
「持続予定日数って、何ですか?」
持続予定日数とは、買う前に決めていた持続期間のことだ。
よろずのの投資では、持続期間が重要な条件となる。
よろずのは、買う原因から持続期間を予定して買う。
それは、原因がどの程度の期間有効に作用するのかを確認するためでもある。
デイ、スイング、ポジションなど、最初に目算を立てるのだ。
「期間が分からなかったら、どうしたら良いですか?」
「本当なら、買わないことだね。」
「やっぱり、そうですよね。」
遥香は笑いながら納得した。
「ま、最初はどう考えたら良いか分からないだろうから、適当でも良いよ。慣れてくれば、シッカリと考えないとダメだけどね。」
「分かりました。やってみます。ところで、どんな株を買ってみたら良いんですか?」
遥香がよろずのに尋ねた。
「それが、前回説明した平原にある痕跡。」
「あ、投資法ですか?」
遥香は、前回教わったことを思い出した。
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