夏休み

第9話彼女にしては激しい起こし方にテンションが下がった

夏休み初日、惰眠を貪っているとスマホにメールが受信されたことを知らせる着信音ががなりだす。

スマホを手に取り、メールを確認すると灯莉からだった。

内容はサイクリングに誘うものだった。

覚醒してない脳で考えられず、短く返事を送信した。


再び、瞼が閉じていき眠りについてしまうのだった。


一時間半後、どたどたと階段を駆け上がってくる足音が自室にも聞こえてきた。

自室の前で足音が止み、バタンッと大きな音をたて扉が開くと同時に「芽愛っ!なんで寝てるのっ?」と寝起きの頭に響くほどの大声が聞こえた。


ううぅぅ、と眠たい目を擦りながら扉の方に視線を向けると透けそうな白のオフショルダーブラウスに地味めな色のキュロットといった服装の灯莉が佇んでいた。


「ふぇー?どうしたのぅー、あっ、あか......りぃ。......すぅすぅ」


彼女は、どすどすと大股でベッドに近付き、薄い掛け布団を剥ぎ取って起こそうと往復ビンタをお見舞いしてきた。


「いた、いたいたっ。いだぁいぃ、いだいぃっでぇ~っっ!?灯莉ぃ~目が怖いぃぃーんだけどぉ~っ」


彼女の往復ビンタでぴしっと目が覚め、ベッドの上で謝る羽目に陥っていた。

私は、じんじんと痛みが走る両頬を擦りながら、彼女に必死の謝罪をした。


「──おかしな返信が届いて心配したのに......折り返してって何度も送ったりしたのにっ!」


「──ごめんって、灯莉ぃっ!寝ぼけてて、それで......」


一時間も彼女に叱られ、用意されていた朝食が冷めてしまい、テンションが下がってしまった。


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