第4話気まずい空気を変えたのは

翌日。

登校してきた灯莉と下駄箱で鉢合わせして、気まずい空気が二人の間に漂っており、話しかけられずに無言のままスリッパに履き替え、足を前に踏み出し歩き出した。

後ろから距離を保ちながら後をついてくる灯莉。

教室に到着する間に廊下ですれ違ったり追いこした生徒達は二人の間にただならぬ空気が漂っていることを察したかのように無視を決め込む。

その対応は妥当だろうし、わざわざ面倒事に首を突っ込むような変わり者はそうそういない。

第一声が肝心だが、どういった言葉を掛けたら良いのか、分からずにこの瞬間ときに身を任せ無言を貫くことしかできない。

「あっ......あのっ、昨日はごめん。芽愛......に迷惑をかけて」

灯莉が勇気を振り絞り、謝罪を口にしたのをきに足を止め振り向いて向き合うことを決心した私は想いを告げた。


微笑み──ながら、短く──と。


正面に佇む灯莉は、今にも泣き出しそうな顔をより一層くしゃくしゃにして笑った。


安心したかのような──笑みを浮かべた彼女に近付いて、手を差し出した。


彼女──灯莉の返答は──だった。






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