第3話兄に気まずい場面を見られる

私達は、ゲームを一通り終え、各々寛いでいた。

私は、ベッドで横たわり瞼を閉じて、眼を休ませていた。

突然、ベッドがギィッと軋み身体に圧迫感を感じて、ゆっくり瞼をあげると、灯莉がブラをつけたまま覆い被さっていた。

「灯莉、いきなりどうしたの?」

「我慢できない......しても良い?」

彼女の熱のある吐息が顔にかかる。

たまに見せる表情が今、目の前にある。火照ったように頬が紅潮して、眼がとろんとしている顔の彼女。

彼女の顔が近付いてきて、狼狽える私。

「えっ、何が、ちょちょっ待っ──」

私の唇に彼女の綺麗な唇が触れる寸前に扉が開いて、声が聞こえた。

「芽愛~借りてた漫画、返しに......あっ、悪い──」

兄が漫画を返しに入ろうとしたが、唖然として扉を勢いよく閉めた。

彼女は、我に返ったようでベッドに顔を埋めた。

「ううぅぅあああぁぁぁ──」

呻いている隙に部屋を飛び出して、兄に事情を説明した。

「兄ちゃん、さっきのは違うから。兄ちゃんが思ってるようなことじゃないから、誤解しないで。お母さんに言わないで」

「誤解も何も、上半身裸の女子とキスをしよ──」

「ほんと、そういう関係じゃないから。お願い、兄ちゃん」

「別に否定してないけど、俺。俺が芽愛の恋愛に口出しなんてしないから。人それぞれに愛の形は違うし、別に良いんじゃない?芽愛の好きにすれば。はい、借りてた漫画」

兄は、そう返し漫画を渡してきた。

「ありがとう。その......言わないでくれ......」

「言わないよ。母さん達にバレたくないなら気を付けなよ。彼女が待ってるし戻ったら、芽愛」

「う、うん」

私は、兄の部屋を出て自室に向かう。

自室では、彼女が悶えていた。

「灯莉、その......」

「ごめん、芽愛。私のせいで、もう無理だよね......嫌いになったよね、私のこと。ううぁぁ......」

私は、泣き声をあげ続ける彼女の背中をさすり続けた。

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