見つけた歴史書

今回は今まで登場したキャラクターの過去の一部とこの物語の中の世界の一部を書いていこうと思います。


登場キャラクターリスト


・エース・レッカ


赤と黒の混ざった髪が特徴的で身長はそこまで高くはない。


目は鋭く,鷹のような目をしている。


・メアリー


白い髪はとても美しい。

目は水色でそれはまさに青空のように透き通っている。


・ガブリエル


身長が高い。

金色の髪はまさに天使と言うものだろう。



・ウリエル


身長は平均的な高さ。

金色と少し混じっている白色の髪がとても美しい。


その目つきは獲物を狩る野獣のような鋭さがある。




2000年




[ADAM]という名の全世界のAIのうち99%のAI機能をコントロールするAIによっての人類の支配が開始された。


そして時は西暦2731年,[ADAM]による支配に耐えかねた1人の男が街で演説をしていた。


彼は人類に許された数少ない権利のうちの一つ



【自由の叫び】



この権利を使い,街で演説を行なった。

[ADAM]にはおおかた適当な理由で演説許可を申請したのだろう。


演説は高さ3メートルはある台の周りを民衆がぐるりと囲うような場所で行われた。


俺もその中で演説を聞いていた。

その様子はメディアを使って世界中に配信されていた。


男の隣に立っていた護衛型ロボットの合図により演説は開始された。

俺はその時の周りの人達の顔を覚えているが皆死んだ顔をしていた。

AIに全てを支配されているのだから当然だ。

人類はAIに逆らうことはできないんだ。


誰もがそう思っていた。




でも,その男は違った。




場に銃声が響く。

男が護衛型ロボットに発砲したのだ。


その音はまるで虚ろな顔をしていた民衆に熱湯をかけるかのようだった。


男は大きく息を吸い,叫ぶように喋りだす。


「皆の者,ご機嫌よう!機械のけつの匂いを嗅ぎ続ける余生はどうだ?」


場がどよめく。

男は数秒黙り込み,続ける。


「私は嫌だ。そんな生活をするんだったら死んだほうがマシだ。」


男は民衆の方を指差し,喋り続ける。


「我々は機械どもによる700年の支配に耐え続けてきた。しかしその機械は我々人類が作り出したものだ。肩たたきをさせる為に作ったのに,肩を砕かれるなんてあんまりだ!」


男は冗談混じりに話す。


「私はこの錆臭い世界に一石を投じにきた。」


男は右手を空に掲げる。その手には四角い機械が握られていた。

不気味な見た目をした機械だった。



「これは我々人類の自由を手に入れる為の翼のようなものだ。」


「大空を飛び,機械どもにくそをぶちまけてやろうぞ!」


何処からか歓声が湧き出す。

死んだ顔をしていた人々がまるで何かに操られるかのように叫びだす。

それは歓喜の声だった。


場の異変を感じた護衛ロボット達が空を飛び,男を捕縛しようと近づく。


「人類よ!自由を叫べ!機械どもよ,これで終わりだ!」


男は機械のスイッチを入れる。


何も起きなかった。

歓声が消えたその時,男の捕縛のために民衆の上を飛び演説台に近づこうとしていたロボット達が動きを止め,

地上に落下する。


その時,世界中のあらゆる機械が機能を停止した。


その時,皆が確信した。

止めたのだ。

あの男が[ADAM]を…




場はとてつもない歓喜に呑まれた。

その場の人々の声量で鼓膜が破けそうになるくらいだった。


俺は[ADAM]の停止に気づいた時に即座に家に帰った。

俺は[ADAM]の停止によって今まで情報統制がされてきたこの世界の歴史書が見れると思ったからだ。


家に帰り,pcを起動して[IV]が管理するサーバーにアクセスをする。

普通ならアクセスすることはできない[IV]管理のサーバー。

俺はいとも簡単にそのサーバーに接続する。


なぜ接続できるかというと、[ADAM]管理のウイルスによってかけられていたフィルターが外れていたからだ。


俺はそこで衝撃的なものを目にする。

この世界には別次元の空間に存在する「天界」というものがあるということ。


AIによる支配前,人界と天界は共存し,互いに力を合わせて暮らしていたという。


俺は天界について調べまくった。


天界は死者の世界と呼ばれ,人界にて死亡した人間の魂がその世界に行き着くという。


いくつもの文献を読み漁っているといつの間にか2日が立っていた。

もっと文献を漁ろうと思っていた時,突然モニターが真っ赤になる。


そしてそこには


【私はIV。先程,人類の存在意義指数が0となったため,抹消に入ります。」


機械っぽい言葉でそう書かれていた。


窓の外を見ると幾つもの光が落下してきていた。


(あぁ,そうか。俺は死ぬのか。)


俺は自身の死を悟った。


(でも,これで天界に行けるのか…な)


そう思った時には光と熱に体を焼かれていた。


結果として[IV]は自身のシステムサーバーをも破壊し,人類の70%を灰にした。



そして次に目を覚ました時,そこは天界だった。


目の前にいた男2人が何かを話していた。


「おい,なんか今日数多くないか?」


「確かに今日はやばいな…人間界で何があったんだ。」


男のうちの1人が話しかけてくる。


「あっすみません。戸籍登録をします。お名前よろしいでしょうか?」





「ガブリエル」





俺はそう名乗った。






時は3040年



俺は街を歩いていた。

いつ見ても汚い街だ。

何かするって訳じゃなく,ただほっつき歩いているだけだ。

この世界は300年前に起きた[全世界核投下宣言]によって焼け焦げ,今の状態になっている。


その生き残りの子孫がこうして生き延びて暮らしているって訳だ。


俺には親がいない。

生まれた時からずっと,母親は俺が生まれた時に死んじゃって,父親は仕事に出たっきり行方不明だ。


でも俺は父親を探すつもりはない。名前も顔もわからないのに,どうやって探せというんだ。


俺にはそれよりも重要なことがあった。


それは5年後のことだ。

1年ほど前から毎日夢の中で誰かに




5年後に起こることに備えろ




そう言われ続けている。備えろって何をだよって話だよ。

その男はそれしか言わないし,ずっと叫んでいてなんだか君が悪い。

でもその男の声を聞くと,とてつもない使命感に襲われるんだ。


まぁ何をすればいいか分からないから何もできないんだが、








もう忘れて飯でも食いに行こう。






その日から不思議とその男は夢に出てこなくなった。











「ガブリエル。今回の件についてどう思う?」


椅子に座った男はそう問う。


「はい,今回の件に関してはもう少し慎重に行くべきだと…」


ガブリエルはそう答える。


「ウリエル,君はどう思うかい?」


「今すぐにでも始末するべきです。」


ウリエルははっきりと答える。


「そうだな…しかしどう始末する?」



「ルイス部隊に特攻させましょう。こんなこともあろうかと特攻用の兵を山ほど用意しています」


ウリエルはルイスの血族者による特攻を提案する。


「ふざけているのか。ウリエル,特攻だなんて大勢犠牲が出るぞ」


ガブリエルは声を荒げて言う。


「死ぬのはルイスの血族者だぞ。なんの問題がある」


「おい!」


ガブリエルは怒り,ウリエルに掴みかかる。


「どうしたんだい?ガブリエル。ルイスの血族者の扱いについては天界禁忌法典にしっかりと記されているぞ。」


「それともまさか天界の秩序を守る政府の最高幹部が野蛮人どもを守るのか?」


その時,誰かがドアを叩いた。


「入りなさい」


男はそう言う。


扉を開けたのは子供を抱いた女性だった。


「お久しぶりです,皆さん。無事に出産できました。」


そう言って女は子供を見せてくる。


「おぉ,良かったなルイーゼ」


ガブリエルは子供を抱きながら言う。


「逞しく育つんだぞ,赤子よ。なんせ[九魂神]の力を継ぐんだからな」


男がそう言った瞬間にウリエルが机を叩く。


「待てよ,ゼウス![九魂神]の余りの1枠は俺の子供に継がせるんじゃないのか!」


「何を言うか。まだお前は子供を創れる歳じゃないだろ」


ゼウスはウリエルにそう言う。


「くっ…」


ウリエルは怒って部屋を出て行ってしまった。


「あっ」


「いいさ,ルイーゼ。あいつはそういうやつだ」


ガブリエルは心配するルイーゼにそう言う。



「それより子供はなんて名前にするんだ?」







「ミカエルよ」



ルイーゼはそう答えた。






私は空を飛んでいた,ずっと誰かに追われている。


(もうこんなに辛いのは嫌…)


追いかけいたのはウリエルだった。


(もういっそのこと…)


メアリーはポケットに入っていた石を使い,次元を越え,人間界へと行った。


(人間界なら天界の13倍早く時間が進む…人間界で何十年…何百年経ったら天界に戻ろう。そうすればもう誰もいじわるして来なくなるかもしれない…)


(なるのかな…そんな風に…)


メアリーは考え込みながら飛んでいると目の前の塔に気づかず,ぶつかってしまった。


「痛っ…」


メアリーはそのまま落下し,道に倒れ込む。


メアリーの腕は折れていたがすぐに再生した。


(どうして…)


メアリーは泣き出す。


(誰か助けて…)




その時,1人の少年がメアリーの元に駆け寄ってきた。





その少年に名前を聞かれても何も答えられなかった。



名前も名乗らない私に少年は言った。






「俺はエース」

















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