決意の意思
雲の上のようなその空間は「天界」であった。
2人は仲間の元を目指して歩き始める。
空を飛ぶ鳥は自由なのだろうか。
少なくとも自分たちよりは自由だとメアリーはそう思った。
道の脇に生えた花はその命を繋ごうと必死に生きている。
あの空を飛んでいた鳥も何かのために必死に飛んでいたのだろうか。
それはきっと命を繋ぐためだろう。
生命の動力源なんてその命を増やすこと以外にないのだから。
メアリーはそのまま考えるのをやめた。
隣にいる人物が今の自分にとっての動力源なんだから。
しばらく歩くとそこには大きな聖堂があった。
メアリーが言うにはこの聖堂が「悪魔の血族」の復権派の根城らしい。
その聖堂は外見は多少汚らしいが中はいっぺんとても綺麗にされていた。
そして1番目を引いたのが聖堂の奥にある巨大な女性の石像だ。その目は水色でとても美しい。
像の手前の椅子に腰掛けている人物が2人いる。
2人のうち長身の男が読書をやめ、手を振る。
「ガブリエルさんミカエルさんお久しぶりです。」
メアリーは2人に挨拶する。
続けてエースのことを2人に紹介し、
事の顛末を話す。
2人は驚いた様子だったがすぐに状況を理解したようだった。
「そうか…人間界にまだ“ルイスの血“の純血が残っていたのだな…」
男は感慨深そうに言う。
「おっと…自己紹介が遅れたな。私はガブリエル。よろしく、エース」
男は気さくにそう言う。
「私はミカエルです。よろしくお願いします。エース殿」
続けて女性が挨拶をする。
エースは2人に天界について詳しい話を聞いた。
まず、エースとメアリーを襲った男は“ウリエル“という名でなんと天界の政府の最高幹部だと言う。
かくいうガブリエルもその最高幹部の1人であるらしい。
ウリエルの他にも悪魔の血族を殺したり、力を奪おうとするものはいて、その者たちが悪魔の血やメアリーの持っていた力に固執するのには理由がある。
その理由というのが
天界の法典「天界禁忌法典」にある。
これは天界の全ての領土に対し、定められた法典であり、
もし、法を破った場合、軽度だか身体に負荷が掛かると言う。
この書は太古から存在し、不思議なことに傷をつけたり、書き換えることが出来ないと言う。
そしてこの書にはしっかりと
[ルイスの血を絶やさんとするものに対し、あらゆる私刑を罰さんとする。]
こう記されている。
これはつまり、悪魔の血を継ぐ者の生を認可しないというものだ。
この書を口実にウリエル達は大量に悪魔の血族を殺して来たと言う。
そして何より,メアリーが追われ続けていたのは
メアリーが保有し,
エースに継承された力にあった。
その力は天界に存在する9つの力のうち最も強力な力とされていて、神の座を狙うウリエル達にとっては何としても手に入れないといけない力というわけだ。
エースには私利私欲のために暴虐を繰り返すウリエル達が許せなかった。
「俺が…必ずメアリーを守る。そして、暴虐を繰り返すウリエル達を俺が止めてみせる。」
エースはその場にいた3人に誓う。
「私たちも共に戦おう。私はこの法典もこんな物を放置する政府も間違っていると思う。」
4人は固く拳を握り、決意を示す。
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