第6話 それぞれの役割
冒険者達がこちらに向かって走ってくる。
また、後ろの方では詠唱している人が数人いた。
おそらく魔法使いだろう。
「うぉぉおおおおおお」
―――キン、キン――――ザシュ―――
アルス様とドルグさんが冒険者達を斬っている。
アルス様は6人。ドルグさんは5人を相手にしている。
5人程、私達の方に向かってきている。
《光の剣ホーリー・ソード》
ミラさんの周りに光の剣が30本程浮いている。
その内の10本程が、冒険者達の方に向かっていった。
冒険者達は防ぐため、足を止めた。
《光の壁バリア》
足を止めている間に、ミラさんが私とサラさんの前に光の壁を作った。
光の壁を張った後、ミラさんは残りの20本程を冒険者達目掛けて放った。
3人倒し、残り2人。
「「「《火球ファイヤー・ボール》」」」
冒険者達の後ろにいた仲間が、アルス様達に火球を放った。
「ふんっ」
ドルグさんがアルス様の前に行き、大きな盾で防いだ。
その隙にドルグさんに斬りかかりにいった冒険者をアルス様が斬った。
連携もバッチリだ。
敵は私達の所に2人。
アルス様の所に4人。
ドルグさんの所に1人。
だいぶ数が減った。
どうやら、アルス様が相手をしているのは、雇った冒険者達の中でも強い人達みたいだ。
《光連弾ホーリー・ショット》
光弾を極めた者が使える、光連弾。
ミラさんは光弾を10発、2人の冒険者に放ち倒した。
これで5人と、後ろの魔法使い3人。そしてリックだけだ。
だが、リックさんは慌てていない。
それ程、アルス様が相手にしている冒険者は強いのだろうし、リックさんはアルス様に勝つ自信があるのだろう。
「こいつらは我らが引き受ける。お前はリックをやれ」
ドルグさんがアルス様に言った。
それと同時に、ミラさんはドルグさん達の方に少し近づいた。
アルス様はリックさんの方にはいかず、私達の方に来た。
「サラ。頼む」
《超回復ハイ・ヒール》
一撃も食らっていなかったアルス様だが、やはり体力は消耗していたらしい。
万全の状態で、リックさんの方に向かっていった。
わざわざ回復しにくる。それ程の相手なのだろう。
「待たせたな。リック」
「ふん。あの程度のやつに手こずるとは、期待外れもいいとこだ」
リックさんは吐き捨てるように言った。
両者剣を抜き、睨み合う。
そして―――
―――キンッ――――
互いの剣が重なり合い、火花を散らす。
互角だ。
――――――――――――――――
アルス様がリックさんと激しい戦いをしているころ
ドルグさん達の戦いも激しくなっていた。
4人の冒険者はドルグさんが、後ろの魔法使い3人はミラさんが相手にしている。
ミラさんは相手の魔法使いに対し優勢だ。
だが、ドルグさんは劣勢だ。
先程から斬撃を防ぎきれず、少しずつダメージを負っている。
《回復弾ヒール・ショット》
サラさんが、回復効果のある弾をドルグさんに放った。
ドルグさんが癒され、また4人を抑えている。
ミラさんが合流するのを待っているのだろう。
それ程の相手だった。
回復弾は、リスクが大きい。
戦闘中の動いている仲間にあてないといけないのだ。
相当な技術が必要である。
下手したら敵を回復させてしまうため、滅多に使えない。
だが、それでも使わなければならない。
サラさんはそう判断したのだろう。
私が思っている以上に、ドルグさんは劣勢だったようだ。
―――――――――――――――――
――――――――――――
――――――――
――――暫く、拮抗した状態が続く
――だが、その拮抗は突然崩れた
ミラさんが最後の魔法使いを倒す時、相手が捨て身の魔法をドルグさんに放った。
ドルグさんはそれを盾で防いだが、冒険者の攻撃により吹っ飛ばされた。
そして、盾は冒険者の足元にある。
剣は…ドルグさんと冒険者の間に落ちている。
冒険者が二手に分かれ、ドルグさんとミラさんに近づく。
……やばい。
居ても立っても居られない私は、光の壁の外に出て、ドルグさんの元に走っていった。
冒険者はドルグさんに剣を振ろうとしている。
――――間に合えっ――
「【デュランダル】」
私は走りながら聖剣の名を呼んだ。
私の右手が輝き、光が剣の形になっていく。
―――――キーン―――――
―――私はドルグさんの前に立ち、相手の剣を防いだ
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