第2話 勇者パーティー



「うん!これでいいんじゃない!可愛い」


「そうだね。とても似合っているよ」


私は鏡の前に立った。


魔族には馴染みはないけど、これはリボンと言うらしい。

ピンク色のリボンが左右の角を隠してくれている。


「角が短いから簡単に隠れて良かったわ。もう少し髪伸ばせばそれで隠せるかもしれないわよ」


ミラさんが私の後ろに立ち、髪型の微調整をしてくれた。


「ありがとうございます!ミラさん!」

私はお礼を言った。魔族にはあまりオシャレには気を使わない。だからとても新鮮だった。



「そうだ。ペルちゃんは魔法とか使えるの?」


「闇魔法の小さい球しか出せません…」

私は落ち込んだように答えた。

アルス様の期待には答えられなそうだから…


「そっか…じゃあこれから俺と剣術の修行しない?向こうの戦争終わった後も、ペルちゃんが自分の身を護れるように」


アルス様と修行!!!!

つまり2人きり!!!!

やらないわけがない!!!



「はい!お願いします!」

私は目を輝かせてアルス様を見た。



「あっずる〜い。ペルちゃん。私も魔法を教えてあげるわ!」


「いや、ミラ…光魔法はペルちゃんには使えないんじゃ…」


「うっ……たしかに……他属性の魔法覚えとくべきだったか〜」


(へ〜ミラさんは光魔法を得意としているのか!

魔族の天敵だ。

だからこそ勇者のパーティーメンバーなのかもしれない。

ん?って事は私が光魔法使えるようになれば、勇者パーティーの一員になれるかもしれない!)


「ミラさん!光魔法!教えてください!!」

私はミラさんの方を一点に見つめお願いした。



「よっしゃ!お姉さんに任せなさい!」



――――こうして、私は剣と魔法を習う事になった




―――――――3時間後―――――


――――ガチャ――――


「待たせたな。ん、見ない顔だ…」

「ただいま戻りました」


凄くムキムキで威圧感がすごい男の人と、白いローブに包まれた女の子が入ってきた。


「あぁ、紹介するよ。この子はペル。近くで魔族に襲われてた所を俺が助けた。で、この子の住んでる家が燃えたから暫く預かる事になったんだ」


私は2人に頭を下げた。


「ペルって呼んでください。よろしくお願いします!」


念のため、本名は隠すようにアルス様に言われた。

あまり人間の国にはいない名前だったようだ。


「なるほど。大変だったな。我はドルグ。よろしく」

「私はサラ。よろしくお願いしますね。ペルちゃん」


ドルグさんとサラさんか。

アルス様の仲間なら仲良くしないと!



「それで、国王様はなんて言ってた?」


「ああ、もし魔族同士で戦争しているなら、終わるまで手出しする必要はないそうだ」


「まぁそうよね。魔族同士で削り合ってくれた方が攻めるの楽だし」


どうやら勇者パーティーとしての話のようだ。


(そっか…やっぱりアルス様達は、私達の国の敵なんだ…)



「それなら、暫く時間ができたって事だな!」


勇者は嬉しそうに言った。


「俺とミラはペルちゃんに剣術と魔法を教えるつもりだ。悪いが2人で魔族の動向を探って欲しい」


「わかった。いいだろう」

「頑張ってくださいね。ペルちゃん」


2人とも優しいな。


―――――私の修行の日々が始まった。



―――――――――――――――――――――


修行を始めて5ヶ月。

やっと…光魔法を使えるようになった。

魔族では光魔法を使う事は出来ない。

だからとても苦労した。

私が子供だったから、出来た事だろう。

使えるようになったと言っても、まだ小さい光の球を出す事しかできないけどね。



いつも通りの魔法の修行を終え、私はミラさんとお風呂に入った。


アルス様の家にお世話になってから、毎日ミラさんとお風呂に入っている。


そうそう、実はミラさんとサラさんは姉妹だった。

似てるとは思ってたけどね…。


「あ〜〜汗かいた後のお風呂は気持ちいいわね」

頭を洗い終わったミラさんが湯船に入ってきた。


「最高です〜!魔族の国にはお風呂が無いので…」


「ふふっ、初めてお風呂入った時すごく怖がってお漏らししちゃったものね」


「ちょっ…」

私は顔がどんどん赤くなるのが分かった。

せっかく忘れてたのに思い出させるから!!


「まぁまぁ、5歳の女の子ならお漏らししちゃう子もいるわよ。だから気にすることないわ。まぁお風呂が怖くて漏らす子は流石にいないけど…」



…恥ずかしい。


前におねしょした時、アルス様に「僕もペルちゃんくらいの歳の時にしちゃったことあるよ。気にしない気にしない」って言われた時程じゃないが…恥ずかしい。



恥ずかしくなったので私は先にお風呂から上がった。



―――光魔法。使えるようになってよかった!

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