第10話 ドロップアイテム
「無事に出てこれたみたいね」
「あぁ、なんとかなったな……すげえ疲れたけど」
俺と咲良はモール内の休憩スペースで合流していた。着替えを済ませた咲良が先に店を出て、虹本達の隙をうかがって俺も店を出たのだ。
奇跡的に虹本と取り巻きの3人が全員試着室に入ったため、周りの客から不審な目で見られつつも店の外へ逃げられた。生きて出てこれたことに感謝だ……。
それはそうと、俺が試着室を脱出する際に、とあるブツを回収したのだが……多分、咲良のだよな……。
「えっと咲良……お前、なんか忘れ物しなかった?」
俺はそう言いながら、右手にある咲良の小さくて大きい忘れ物を差し出した。
「……」
「……これって……わ、私の下着……!?」
「……」
そう! 俺が回収したのは咲良の下の下着。というか、普通忘れるか? はいてないことに気づかないなんて事あるか?!
咲良は涙目になりながら、『キッ』と俺を睨んだ。ほんっとごめん……いや俺もね、本人が忘れてるならいいかと思ったんだけど、どう考えてもダメだろと思って……。
「置いていくと
「へ、変なことしてないでしょうね?!」
「してねーよ。潔白だ、無実だ!」
咲良は俺の顔を疑り深く見つめた後、急に椅子から立ち上がった。
「……る」
「え、なに?」
「私もう帰るぅぅぅ!」
「あ、おい待て!」
咲良は俺に
一応、俺初めてのデートだったんですけど……あの、その。あぁ……もういいや……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます