第6話 驚きがいっぱい



僕達はガドーネス王国の王都に到着した。


侯爵領に行く前に、カリンが買いたい物があるらしい。



一緒に買い物に付いて行こうとも思ったが、別行動をとる事にした。

女性の買い物だ。男がいない方がいいかもしれないしね!

女性と買い物行くと荷物持ちやら、あちこち移動するやらで面倒って訳じゃないよ?

本当だよ!?

カリンは魔法バック持ってるし、僕は空間収納がある。

面倒臭い訳じゃないからね!!



そんな訳で僕は今、王都を散策している。


初めての他国だ!

何か名産品やら郷土料理があれば食べたい!



――――王城がある方角へ歩き、王城が見えてきた


「えっ?これ…お城じゃん!!!」


僕は思わず声に出した。


王城なんだからお城なのは当たり前じゃん。


そんなツッコミが聞こえてくる。


だが、本当にお城なのだ。


前世で言うと…そうだな…姫路城みたいな。


まさか今世にこんな技術がある国があったとは…


いや〜驚いた。本物の姫路城と比べると違うところは多々あるが、それでも今世の建物とはレベルが違う。


(もしかして…ゴースリア王国とダルパニア王国の建築レベルが低いだけで、他国の王城はこんな感じなのか?)


良いものが見れた!


僕は散策を再開し、違う道から今日の宿を目指す。


しばらく進むと…1つの暖簾に目がいった。


【天麩羅】


な…に…!!


(天麩羅のお店だ!)

僕は唾を飲んだ。


ゴースリア王国では揚げ物と言ったらフライドポテト。

揚げ物の調理技術はあまりなかった。


カレーライスといい、天麩羅といい、他国には色々懐かしい食がある。


(ゴースリア王国…建築技術も食文化も…他国に負けてるな…)


僕はもちろん、天麩羅のお店に入った。


「いらっしゃいませ〜。1名様ですか?」


元気な愛想の良いお姉さんが出迎えてくれた。

僕を子供扱いせず、1人の客として扱ってくれたのが嬉しかった。

後から聞いた話だが、このお姉さんは大将の娘さんらしい。




テーブルとカウンターがあるが、僕はカウンターに座った。


大将が目の前で揚げているのを見ながら、僕はメニュー表を見て注文した。


「かき揚げ、さつま芋、レンコン、大葉、みょうが、ナス、ピーマンをそれぞれ1つずつ下さい」


前世振りの天麩羅。思わず沢山頼んでしまった!


「はいよ!兄ちゃんは天麩羅好きか?」


大将が注文を聞き、僕に話しかけてきた。


「大好きです!」


僕は元気よく答えた。


「ははは!これはオマケだ!沢山食って大きくなれよ!」


そう言ってエビの天麩羅を2本くれた。


あれ?メニュー表にはエビは無かったぞ?


「エビもあったんですか!?」


「あまり客に出さないから載せてないんだ。うちには王族や貴族の方がよく食べに来てね、その時にお出しするとっておきがエビ天だ」


そうだよね。

王都には新鮮な魚はない。配送する間にダメになってしまうから。

これは…一体どうやってここまで持ってきたんだ?

魔法バックでも劣化はするから無理だ。


……もしかして、僕の空間収納みたいな魔法を使う人がいるのか?


「いいんですか?貴重なエビ天を2本もいただいてしまって」


「あぁ、何でかな?俺には兄ちゃんがいつか大物になる気がするんだ。俺も昔、数々の大物を見てきた…。何となく、雰囲気が似てるんだ」


大将が昔の思い出を振り返っているのか、天井を見て遠い目をしていた。


(大将の目に狂いはない。僕Sランクだし。もしかしたらこの大将も相当大物なのだろう)


「はいよ。お待ち!」


頼んでいた天麩羅とご飯とお味噌汁が出てきた。


(お味噌汁まで!?ちゃんとダシを取ってある…)


恐ろしいなガドーネス王国…ここまで食文化が違うのか。

ゴースリア王国に戻るって約束したけど…ここ住みたいわ〜


――――僕は前世振りの天麩羅とお味噌汁を堪能した



――――――――――――――――――――


☆王都【宿】


「今日は楽しかった。カリンはお目当ての物、買えました?」


「ええ…。買えたわ…。ついでに、王都の神殿にも行ってきたわ。いいところねガドーネス王国」


色々周って疲れたのかな?あまり元気ない。


「どうしました?カリン」


「え?…何が?」


「元気が無いように見えるので」


「…あ、…あぁ。大丈夫よ。ちょっと疲れたのかもしれないわ」


「あまり無理しないでください。今日は早めに寝ましょうか」


僕達はそれぞれの部屋で寝た。


―――――――翌日―――――――


カリンはすっかり元気になっていた。


本当に買い物で疲れただけなのかもしれない。


王都を出て2日目に侯爵領の領都に着いた。


―――――――――――――――――――


☆侯爵領【領都】


――――驚いた


ガドーネス王国には本当に驚かされてばかりだ。



侯爵領の領土の半分近く締める程の規模はあるだろう湖があった。


「――――まるで琵琶湖だな」

僕は思わずボソッと呟いた。



「!!…琵琶湖?」


カリンがこちらを見ている。


「あ、ああ!ごめん。僕のいた国(前世)には琵琶湖って言う湖があったんだ」


いきなり琵琶湖って言われても意味わからないであろうカリンに僕は説明した。


「…へぇ〜。ゴースリア王国にそんな場所があったなんて、いつか行ってみたいわ」


カリンは湖を見ながら言っていた。


「ははは」

ゴースリア王国にはそんな湖ない。

だが前世と説明する訳にはいかず…僕は笑う事しか出来なかった。



―――湖に沿って馬車を走らせていると、僕は信じられないものが目に入った。



「すみません!ちょっと止めて下さい」


僕は馬車を降り、見間違いじゃないかを確認しに行った。


「どうしたの…?」


カリンも付いてくる。


「「!!!」」


僕達は湖の底を見て驚いた。



やっぱり、見間違いなんかじゃなかった。



―――なんと、湖の底にゴースリア王国の神殿とは比べ物にならない程、立派で大きな神殿が沈んでいた


「なんで、こんな所に神殿が…?」


カリンも不思議そうに見ている。


「水の底にあるのに、老朽化していない。そんな事があるんですね…。神殿関係のカリンも知らなかったですか?」



僕はカリンに聞いてみた。


「ええ。水に沈む神殿なんて聞いたこともないわ」



―――僕達は暫く、その場で神殿を眺めていた

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