第4話 今更後悔しても遅い


1日経ち、僕達は馬車乗り場で馬車にのりガドーネス王国の王都へ向けて出発した。

男爵領→伯爵領→王都→侯爵領→男爵領を通り、ガラム帝国に向かう港に行く予定だ。


この街は男爵領の一部らしい。

2日程で伯爵領に着き、そこから更に馬車を走らせれば1日程で領都に着く。


今日の目標は男爵領の領都だ。

規模は昨日泊まった街とあまり変わらないらしい。



「コーキ。あなたはどうやってSランクになったの?」

馬車に揺られている途中、カリンが質問してきた。


「そうですね…国王様の話では、ブルードラゴンを倒した時点でSランクにする気だったみたいですが…決定的なのは黒神狼を討伐した事でしょうか…」


「えっ!?黒神狼を倒したの!?ってか存在したんだ…黒神狼…凄いわね、あなたのパーティー」


カリンは驚きつつ感心したような表情で僕を見ていた。


「僕はパーティー組んでないです。ずっとソロでやってきました」


「………」

カリンは固まった。


「え…1人で黒神狼倒したの!?やっぱりコーキって…」

カリンはまたボソッと独り言を呟いていた。


「本当、あなたには驚かされる―――」


―――ガタッ―――


カリンが話している途中、急に馬車が停まった。


「どうしました?」

僕は御者に話しかけた。


「それが…前を塞いでいる…盗賊?というよりは冒険者がいまして…」


冒険者?何故冒険者が馬車の通行を邪魔するんだ?


僕は窓から外にいる冒険者を見た。


ざっと20人はいるだろうか…。

なんだこの人数…。


冒険者達を見渡していると、見覚えのある顔の冒険者がいた。


(あ、昨日のガラの悪い3人組…。あ〜これ、昨日の復讐か。たまたま道を塞いだのではなく、意図的だな)


「昨日のガラの悪いやつらがいました。ちょっと行ってきます。カリンはここで待っていてください」


僕は外に出た。


「よぉてめぇ。どこ行くんだ?逃げんじゃねぇよ」

逃げる?何言ってるんだ?こいつ。


「まだ懲りてないんですね…。この周りの人はあなたの仲間ですか?」


「あ゛〜そうだよ。昨日はよくもやってくれたな。マグレとはいえ、俺様を…」

睨みながら、仲間を呼んで僕達を襲うつもりだと認めた。


「Bランク冒険者の俺様に喧嘩を売ったんだ。タダで済むと思うなよ。おいてめぇら、やっちまえ」

ガラの悪い男の声を号令に、冒険者達が剣を抜き、構えた。


ふ〜ん、Bランク冒険者だったんだ。

てかなんで仲間の冒険者を連れてきたのに皆剣なんだ?

槍やら弓やら魔法やら、他のポジションはいないのか?バランス悪っ…。



「……はぁ〜」

僕は腕を組みながら、呆れたように溜息を吐いた。


それを見た冒険者達が、一斉に僕に向かって走ってきた。


炎壁ファイヤー・ウォール


僕と冒険者達を囲むように、炎の壁を出した。

これで逃げられないし、馬車に攻撃する事もできないからカリンと御者さんも安心だ。


「「なっ!」」

「こいつ…剣士じゃなく魔法使いだったのか…」


いえ、剣士であってますよ?

まぁあなた方程度に抜く必要はないですが…。

殺しちゃうし…


一瞬戸惑った冒険者達だが、すぐに冷静を取り戻し僕に向かってきた。


――――ボコッ、ドカッ――――


僕は向かってきた冒険者達を片っ端から殴っていった。


殴られた冒険者達は悶絶している。


あと8人――


「「「…………うそだろ…………」」」


みんな驚いている。

まぁ昨日のはマグレじゃないし…同じ状況になるのは当たり前だよね。


皆顔色が青ざめていく。

とんでもない奴に喧嘩を売ってしまった…。

そう後悔している事だろう。

だがもう遅い。



―――ボコッ―――ドンッ――――


僕はガラの悪い3人以外の5人を殴り、地面に蹲らせた。


「…俺たちが悪かった…許してくれ…」

ガラの悪い男達は泣きながら、僕に許しを請いた。


「今更遅いよ。君達は二度目だし」


僕は右手を挙げ、上空に大きい炎の玉を作った。


炎球ファイヤー・ボール


「「「…………」」」


3人は炎球を見ながら絶望していた。

そう…普通の炎球とは大きさが全然違う。



―――ドカーン―――

僕は炎球をガラの悪い3人に落とした。


3人は倒れた。

もちろん、殺してはいないよ。


さて、炎壁を解くか。


「カリン。この冒険者達、《拘束》してくれない?」

僕は馬車へ行き、カリンに頼んだ。


「えぇ、良いわよ。それにしてもコーキ。あなた魔法まで使えるのね。これがSランク…凄いわ」


カリンは驚きながら冒険者達を拘束していく。


「とりあえずこの人達は、領都の冒険者ギルドに連れて行こう」


僕は冒険者達を監視するため、外で歩く事にした。


さぁ、領都に向け出発だ!!

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