第3話 ジャールからの贈り物
今、僕は冒険者2人と共に冒険者ギルドに戻っている。
行動を共にしているのは、雷鳥の報告のためだ。
雷が直撃し、黒焦げになったベスタは同じパーティーの剣士ジャールが担いで連れてきた。今はベッドで安静にしているためここにはいない。
「それにしても坊やすごく強いわね」
今僕に話しかけてきたのは、雷鳥に襲われてた内の1人、魔法使いのソルティナだ。
ソルティナ・ベスタ・ジャールの3人でパーティーを組んでるらしい。3人ともCランクでリーダーはソルティナだ。
「初戦闘が雷鳥だったけど勝ててよかったよ。でも僕が懐に近づくまでに雷鳥が動かないでいてくれたから、攻撃を当てる事が出来たんだ。雷鳥に動かれてたらどうなってたか…」
僕は初戦闘を思い出しながら述べた。
いやホント、空に飛ばれて雷でも落とされたら何も出来なかっただろうし…よかった〜。
「坊主が速すぎて動けなかったんだろ」
笑いながらジャールが言った。
そっか…雷鳥が動かなかったんじゃなくて、僕が速くて反応できなかったのか。
これも祝福の力か?
「でも本当にありがとな、坊主。坊主がいなければ俺たち全員死んでた。坊主が来てくれたから、ベスタも生きてる」
「本当ありがとう。坊や」
2人は僕にお礼を言った。何度目だろ…森でも聞いた。最初に仲良くなった冒険者がこの3人で良かった。
「ギルドに着いたら、先に坊主の依頼報酬手続きを済ませよう。雷鳥の事は説明しなきゃならないし時間もかかりそうだしな」
…ってことで先に僕が手続きすることになった。
―――――――――――――――――――――
☆サランド領【冒険者ギルド】
冒険者ギルドに着いた。
中に入ると登録した時にも居たニヤニヤしてた冒険者のパーティーがいた。暇なのか?
僕は気にせず受付に行った。
「薬草採取終わりました」
僕は魔法バックにしまっていた薬草の束を受付台に置いた。
「まぁこんなに。君凄いわね〜。あっギルドカードの提示お願いね」
登録した時とは違うお姉さんが対応してくれた。
「コーキ君って言うのね。私はティーゼ。よろしくね。それにしても登録初日にこんなに持ってくる子は初めてよ。この量なら銀貨4枚ね。」
おお…。薬草の束が銀貨4枚になった。初めて自分で稼いだお金だ。やっぱり嬉しいな。
「おい。待て」
僕がティーゼさんから報酬を受け取っていると、さっき僕を見てニヤニヤしていた冒険者達が声かけてきた。
「オレはよ。ガキが心配で後ろから付けたったんだ。そしたらこいつ、他の冒険者達から薬草を奪ってやがった。そんなやつに報酬なんて渡すんじゃねぇ」
何言ってんだ?…こいつ。
これは道中僕が見つけて採取したものだ。奪ったものじゃない。
僕が反論しようとした時…
「よこせ。これはオレが奪われた冒険者達に渡してやるよ。おい、ティーゼ。こいつのギルドカード、剥奪しとけよ」
と、ニヤニヤしながら言ってきた。
「おい、ブルド。それは本当か?この坊主が他の冒険者から薬草を奪ったのは」
ジャールは睨みながらブルドと呼ばれたニヤニヤしてた冒険者に問いかけた。
「ああ、嘘じゃねぇ。ちゃんと最後まで見てたぜ。このガキが薬草を奪って森を抜けるところまでなぁ」
ニヤニヤしながらブルドが言った。
「ちなみお前、俺達のパーティーが何と戦ってたのは見たのか?」
「あ゛?見てるわけねぇだろ。オレはこのガキを付けてたんだからなぁ。薬草摂取するやつがいないところまで進むわけねぇだろ」
ジャールはニヤッと笑い、ティーゼの方を向いた。
「ブルドの言ってる事は嘘だ。この坊主は途中から俺達と行動を共にしてた。本当にこいつが尾行してたなら俺達が何と戦ってたのか言えるはずだ」
そう言って魔法バックから雷鳥の魔石を取り出した。
「「これはっ」」
魔石を見たティーゼとブルドは驚きの声を上げた。
「この大きさはBランクモンスターの魔石…何と遭遇したの?」
ティーゼは驚きと困惑の表情を浮かべながら問いた。
「これは雷鳥の魔石。倒したのはこの坊主だ」
「「えっ」」
再びティーゼとブルドは驚きの声を上げ、困惑していた。
「嘘つくんじゃねぇ。雷鳥は冒険者になったばかりのガキが倒せるようなモンスターではねぇぞ」
ブルドが唾を撒き散らしながら怒鳴った。
「でも事実だ。とりあえずブルド。外野は黙ってろ。あとお前、虚偽申告したんだからそれなりの罰はあるだろうよ。楽しみに待っとけ。なぁティーゼさん。」
ニヤリとしながらジャールは言った。
ブルドは顔面蒼白になりその場に座り込んだ。
「そうね。虚偽申告については罰を受けて貰うわ。でも私、コーキ君が雷鳥倒したとは信じられないの。でもジャールが言うなら本当なのでしょうね。ギルドマスターに話してくるわ。少し待ってて頂戴」
そう言ってティーゼは席を立ち、奥の部屋の方へ行った。
―――――――――――――――――――――
☆冒険者ギルド【応接室】
「待たせたな」
数分待ち、ギルドマスターがやってきた。
スキンヘッドでとてもガタイが良く、ダムルスよりも強面であった。
僕達は応接室に案内された。
「ギルドマスターのギルザークだ。よろしく。さっそく本題だか、ティーゼから報告を受けた。コーキ君が雷鳥を倒したと言うのは本当なのかね?」
少々威圧するように腕を組み鋭い眼光を向けながら聞いてきた。
「はい。僕が倒しました。実は―――」
僕は森での出来事を全て報告した。
「――うむ…ソルティナ。コーキ君の話は本当かね?」
「はい。全て事実です。私達はこの坊やに助けられました」
ギルザークは顔を手で覆い、悩んだ顔をしていた。
「わかった…。特例だが、コーキ君をCランクにしよう。だか、少しでも我々が君を力不足だと感じたら降格させてもらう。」
なんと…初日でCランクになった。
これで狩りにいける。僕の力がどれくらいなのか、実戦で試してみたい。とても楽しみだ。
「分かりました。ありがとうございます。Cランクに恥じないよう頑張ります」
僕は満面の笑みでそう答えた。
「ブルドの処分についてだが、こちらで決めてもいいか?とりあえず降格は決まっている。話し合い次第では剥奪するかもしれないが」
ギルザークは怒りに満ちた表情で聞いてきた。
まぁ僕としては適当に罰受けてもらえればそれでいい。全て任せよう。
ギルドマスターとの話し合いが終わり、僕達はギルドの外に出ていた。
「それにしてもいいのか?坊主。雷鳥の討伐報酬全部貰っちゃって」
ジャールが申し訳なさそうな表情で言ってきた。
「いいですよ。虚偽申告から守っていただきましたし、こうしてCランク冒険者にもなれましたし!」
そう言って僕はジャールに新しく発行されたギルドカードを見せた。
右上の鉄だったところが銅に変わった以外は前と同じだが…
「流石に申し訳ないから、これ、貰ってくれないか?」
そう言いながらジャールは自分の剣を差し出してきた。
「これは俺が初めて奮発して買ったミスリルの剣だ。かなり丈夫で切れ味も最高だ。坊主に使って欲しい」
とても綺麗で大切に使われているのは一目で分かった。そんな大切な物は受け取れないと言っても、ジャールは納得してくれない。ありがたく受け取ることにした。
「ありがとう。ありがたく使わせてもらうよ」
初めての武器を手に入れた。
ジャールから貰った剣を装備し、僕は家へ帰った。
今日はパーティーだ。楽しみ!
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