第537話 精霊獣戦①

 アレン、メルス、グラハンが精霊獣と化したローゼンとファーブルに簡単に吹き飛ばされる。

 精霊神が精霊獣になると、とんでもない力があるようだ。


「トーニス様、皆に回復を!!」


『うむ、任せるのじゃ!!』


 ソフィーはこの惨状に慌てて、水の大精霊トーニスに皆の体力を回復するように指示をする。

 トーニスが杖を掲げると広い空間を覆うほどの水しぶきが生じる。

 左右と後方に吹き飛ばされたが、一気に全員を回復する中、アレンはゆっくり精霊獣の方を向いた。


『いかがしましたか? 今更問題の内容を変えてくれと言ってもできない相談ですよ?』


(大精霊神の様子だと、勝利を確信しているようだな。これは、作戦を急いだほうがいいか。メルス、こっちは何とかするから向こうに行ってくれ)


 アレンは大精霊神の問いに答えることなくメルスの意思に語り掛ける。


『分かった』


 メルスは一言、アレンの意識に語り掛けると、その場を転移する。


『……この状況でどこかに行くなんて余裕ですね。まあ、何をしても、あなた方に未来はないのですけどね』


「さあ、何の話でしょうか」


 大精霊神の言葉に反応しながらも、無数に出した召喚獣たちの視界を共有し、精霊獣たちの動きの警戒は止めない。


(メルスがどこかに行っても咎めるわけでもないと。この精霊獣はそれほどの力があるのか。それとも別に何か確信するようなものがあるのか)


 アレンは知らぬ存ぜぬとでぼけて見せながらも、最悪の結果をいくつも想定する。


『厳しい戦いになりそうであるな』


 グラハンからも緊張が伝わってくる。


「ああ、憑依合体だ」


『うむ!!』


 アレンはグラハンに覚醒スキル「憑依合体」を使用するよう指示をする。

 グラハンは体全身を青白い炎に変え、アレンの体の中に取り込まれていく。


「アレン、また襲ってきたぞ!!」


 憑依合体が発動できたや否や、ローゼンの長い蔦がアレンを襲う。


「むん! 霊斬剣!!」


 アレンのオリハルコンの剣が、今度はローゼンの長い蔦を容易に手元で叩き切る。


(ステータスは嘘をつかないと。半端なステータス2体よりも、強化した1人の方が有利なことはよくあることだな。守りは薄くなるけど)


 アレンはこの数日間で、神界の無神島などにいる亜神級の霊獣を3体狩り、レベルを15増やして200まで上げている。


 【名 前】 アレン

 【年 齢】 16

 【職 業】 召喚士

 【レベル】 200

 【体 力】 22015+17000

 【魔 力】 35180+24000

 【霊 力】 59180

 【攻撃力】 12316+23200

 【耐久力】 12316+34000

 【素早さ】 22879+44200

 【知 力】 35190+56000+52500

 【幸 運】 22879+10000

 【神 技】 なし

 【スキル】 召喚〈9〉、生成〈9〉、合成〈9〉、強化〈9〉、覚醒〈9〉、成長〈9〉、拡張〈8〉、共有、収納、高速召喚、等価交換、指揮化、王化、〈封〉、〈封〉、剣術〈5〉、投擲〈3〉

 【経験値】 約800億/20杼


・スキルレベル

 【召 喚】 9

 【生 成】 9

 【合 成】 9

 【強 化】 9

 【覚 醒】 9

 【成 長】 9

・スキル経験値

 【生 成】 約220億/1000億

 【合 成】 約200億/1000億

 【強 化】 約300億/1000億

 【覚 醒】 約180億/1000億

 【成 長】 約100億/1000億

・取得可能召喚獣

 【 虫 】 封ABCDEFGH

 【 獣 】 封ABCDEFGH

 【 鳥 】 SABCDEFG

 【 草 】 封ABCDEF

 【 石 】 封ABCDE

 【 魚 】 SABCD

 【 霊 】 SABC

 【 竜 】 封AB

 【天 使】 SA

 【 - 】 S

・ホルダー(全90枚)

 【 虫 】 計8枚 A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1

 【 獣 】 計8枚 A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1

 【 鳥 】 計18枚 S1、A11、B1、C1、D1、E1、F1、G1

 【 草 】 計6枚  A1、B1、C1、D1、E1、F1

 【 石 】 計5枚 A1、B1、C1、D1、E1

 【 魚 】 計5枚 S1、A1、B1、C1、D1

 【 霊 】 計14枚 S1、A11、B1、C1

 【 竜 】 計25枚 A24、B1

 【天 使】 計1枚  A1

 【 - 】 


 【武器】オリハルコンの剣:攻撃力10000、攻撃力5000

 【防具①】甲竜の鎧:耐久力8000、物理攻撃ダメージ半減

 【防具②】闇竜のマント:耐久力4000、魔法攻撃ダメージ半減

 【指輪①】知力5000、知力5000

 【指輪②】知力5000、知力5000

 【腕輪①】魔力回復1パーセント、耐久力5000、知力5000、

 【腕輪②】魔力回復1パーセント、耐久力5000、知力5000、クールタイム半減

 【首飾り】知力3000、知力3000

 【耳飾り①】物理攻撃ダメージ7パーセント、知力2000

 【耳飾り②】物理攻撃ダメージ7パーセント、知力2000

 【足輪①】素早さ5000、転移、回避率20パーセント

 【足輪②】素早さ5000、転移、回避率20パーセント


 ※知力の上昇はグラハンの覚醒スキル「憑依合体」の効果

 ※鳥Sと魚Sと霊Sの召喚獣は2つのステータスが10000ずつ上昇

 ※指輪、首飾り、耳飾りの追加ステータスは魔法具師カサゴマの神技

 ※グラハンを仲間にしたことによって、魔法具は知力系に変更


・補正込みのアレンのステータス

 【体 力】 77458

 【魔 力】 78298

 【霊 力】 78298

 【攻撃力】 62516+15000(武器)

 【耐久力】 67448+12000(防具)

 【素早さ】 109079

 【知 力】 158190+52500(憑依合体)

 【幸 運】 34879


(さて、十分に戦える感じはするが倒せるかな。動きがいいのは剣術のレベルが8になっているからなわけだけど)


 憑依合体の効果によって精霊獣に通じる程度までステータスが上がり、さらに剣術のレベルが仲間たちでも未踏の8まで上がった。

 これまで自分でも考えられなかった剣裁きができるような気がする。


『グオオオオオオ』


 ダメージを負ったローゼンに変わり、ファーブルが突っ込んでくる。


「おらああ!!」


『グラァ!?』


 アレンは掛け声と共に、グラハンの特技「霊斬剣」を発動させた剣を上段から振るう。

 ファーブルのヘドロ状の肉体を大きく爆散させ、後方へ吹き飛ばす。


(よいよい。さすが、知力依存の攻撃だ)


 アレンの攻撃力の伸びは、知力に比べてかなり低い。

 ただ、憑依合体中のアレンの攻撃は、グラハンの特技発動時に威力が知力依存になる。

 お陰で20万を超える知力の暴力で戦うことができる。


『アアアァアァ!!』


 人面の木の化け物と化したローゼンが木の葉をまき散らした。

 叩き切ったローゼンの蔦の断面からメキメキと伸び始め、元通りになる。

 木の葉がダメージを受けたファーブルの体を包み、肉体をあっという間に回復していく。


(ローゼンは回復役ね。攻撃力もかなりのものだったし、長期戦になりそうだな)


 回復範囲に、回復速度から見ても、ローゼンはかなり有能な回復役のようだ。


「憑依合体の効果は2時間だ。それまでに勝負を決めるぞ」


(時の大精霊クイックのお陰で憑依合体の持続時間が2倍になったのは嬉しい。さてと、戦いはこれからだ)


 メルスがいなくなり、グラハンとアレンが憑依合体した。

 3人で2体の神級の精霊獣と戦わないといけない。


 メキメキ


「2人とも俺を壁にしてくれ」


 前衛が1人だけになったので、アレンは自らの後方にソフィーとルークを下げる。


 アレンが庇う様子を見た2体の精霊獣はニヤニヤとし始める。

 ローゼンは蔦の数を数十本に数を増やし、ファーブルは触手を数多く出し始める。


(ウネウネしやがって)


 明らかに、アレンたちの弱点を突いた行動のようだ。

 20万を超える圧倒的な知力をもって、2体の精霊獣による無数の攻撃手段の全ての動きを捉え、次の攻撃を予想する。


『アアアアアァァ!!』


 警戒をするアレンにローゼンの無数の蔦が襲い掛かる。

 ローゼンの無数の攻撃にアレンが囚われている間に、ファーブルがソフィーに粘着質な触手を向かわせる。


「ジン様!!」


『任せるのだ!』


 バリバリと雷を帯びた筋肉質な男のジンは、ソフィーの全魔力を吸収し、手に持った電気を帯びた三又の槍を持って、迫りくるファーブルに突っ込む。


 粘性の強いファーブルの体に、槍の電撃が突き刺さり煙が立ち込める。

 追加攻撃でマヒの効果もあるようで、ファーブルの体がゆっくりになったところでソフィーは後退する。


「俺らも行くぜ!!」


『おう、燃やし尽くすぜ! オラオウ!!』


 真っ赤なビキニアーマーを着た活発そうな女性の火の大精霊カカは、ルークの全魔力を吸収する。

 カカは両手を重ねた灼熱の炎を繰り出し、2体の精霊獣を火で飲み込んだ。


(「ダメージは食らうが」ってところか。む? 葉っぱが燃えていると)


 攻撃範囲や威力を確認しているところ、ローゼンの木の枝に生える大量の葉っぱが燃え尽きることに気付く。

 燃え尽きた葉は少し時間を掛けて枝から生えていき、また元の数に戻っていくようだ。


 アレンが何かに気付いたときに、ローゼンとファーブルも何かに気付いた。

 一瞬だけ、2体の精霊獣の目が合ったと思うと、アレンたち3人を挟み込む形に移動を開始する。

 両サイドからの攻撃でアレンは2人を守れないだろうと、精霊獣たちはニヤニヤとしている。

 引きつったソフィーとルークの頬に汗が流れる。


(やばいな、俺でもかなりのダメージなんだが、2人じゃ死にかねないぞ)


 ソフィーとルークが直撃を受けたら致命傷になりかねない。


「テッコウ、2人を守ってくれよ」


『……』


 石Cの召喚獣は無言で返事をする。

 石Cの召喚獣の覚醒スキル「自己犠牲」が発動すれば、複数の対象を守ってくれる。

 さらに、アレンは剣を地面に叩きつける。


「マジックイーター!!」


 剣が突き刺さった瞬間、怨霊のようなものが全体に広がるようなエフェクトと共に、衝撃波が広がり、距離を取った2体の精霊獣に襲い掛かる。


『アアアアアァア!?』

『グラアアアアア!!』


 衝撃波によって、ローゼンの蠢く根や蔦の多くを粉砕し、ファーブルが紫色の反吐をぶちまける。


「よし、効果があると。魔力全快だ。連発できないのは残念か」


【特技マジックイーターの効果】

・剣を地面に突き立てることによって、周囲1キロメートルに渡って衝撃波を与える

・威力は知力依存

・クールタイムは5分

・敵の魔力を吸収することができる

・宙を浮く敵には効果が薄い


 2体同時に攻撃できるのは助かる。

 知力20万での特技「マジックイーター」だと、かなりの威力になるようだ。


「どうしましょう、アレン様」


「ここはプランEで行くぞ。ルーク狙いはわかるな」


「おう、プランEだな。もちろん分かってる」


 アレンが前日に考えておいたいくつかある作戦のうちの1つを記号のように口にする。

 ソフィーもルークも頷き、何が狙いか分かったようだ。


「ソフィーはトーニスだけは倒されないようにしてくれ」


 何かあったら大精霊を盾にすると思うが、回復の要の水の大精霊だけは守るように言う。


『そうじゃの。儂は痛いのが嫌じゃよ』


『はぁ、俺も倒されたくねえぞ。せっかくお前らといると精霊神になれそうなのによ』


 個性が強そうな火の大精霊カカは不満顔だ。

 この火の大精霊は何でも野心家のようで、アレンたちについていけば大精霊から精霊神に至れると判断してルークと契約したようだ。


 精霊たちも攻撃を受けたら体力が削られる。

 全ての体力が削られたら死んでしまうし、ある程度の体力が削られたら一定期間顕現できなくなる。 



 アレンたちとの戦いは続いていく。


「霊斬剣!!」


 アレンが一方を攻撃し、ルークとソフィーは守りに徹する。


『アアァアァアァア!!』


 どんなに攻撃しても、ローゼンは自らとファーブルを完全回復してしまう。


(さて、そろそろかな。お? これはそうじゃないのか)


 アレンはファーブルの攻撃の変化に気付いた。

 ファーブルはヘドロを出そうとしたのだが、詰まったかのように攻撃できない様子を捉えるのであった。

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