第471話 爪の門番戦
クレナがメガデスによって竜騎兵に転職して10日が過ぎた。
その間、クレナは転職してレベル1になったのでレベル上げに勤しんだ。
1体で10億以上の経験値が貰えるアイアンゴーレムをひたすら狩り続ける。
【名 前】 クレナ
【年 齢】 16
【職 業】 竜騎兵
【加 護】 調停神(中)
【レベル】 89
【体 力】 5947+600(真竜爪)+12000(真豪傑)
【魔 力】 2940+600+12000
【攻撃力】 6387+1200+12000
【耐久力】 5064+600+12000
【素早さ】 5187+1200+12000
【知 力】 3017+600+6000
【幸 運】 3853+600+12000
【スキル】 竜騎兵〈3〉、真騎竜〈3〉、真竜剣〈3〉、真竜爪〈1〉、真斬撃〈6〉、真鳳凰破〈6〉、真快癒剣〈6〉、真覇王剣〈6〉、真豪傑〈2〉、限界突破〈4〉、超突撃(限)〈3〉、剣術〈7〉
【経験値】 約300億/5000億
・スキルレベル
【竜騎兵】 3
【真騎竜】 3
【真竜剣】 3
【真斬撃】 6
【真鳳凰破】 6
【真快癒剣】 6
【真覇王剣】 6
【限界突破】 4
【超突撃(限)】 3
・スキル経験値
【真騎竜】 2000/1万
【真竜剣】 8000/1万
【真斬撃】 約80万/1000万
【真鳳凰破】 約120万/1000万
【真快癒剣】 約300万/1000万
【真覇王剣】 約350万/1000万
【限界突破】 約300万/1000万
【超突撃(限)】 約20万/100万
10日間アイアンゴーレムを狩って、クレナのレベルは随分上がった。
爪の門の門番はそこまで強くないとメガデスは言うが信用できない。
メガデスにはメガデスの目的があって、試しの門に挑戦させようとしていることが分かった。
レベルをカンストさせて挑戦したいが、レベルのカンストまで半年以上かかる。
神界に行って、仲間たちを強化する。
この目的は変わらない中、魔王軍は次に何をしてくるのか分からない状況だ。
どこまで時間をかけるのか、バランスを考えた結果の10日間だ。
なお、転職ダンジョンや4月から始まる転職ポイントの方法も考えた。
そのためにはレベルをカンストする必要がありとんでもない時間がかかる。
魔王軍との戦いに後手になりかねない。
そもそも、アレンの案は「そんなことできないよ」とメガデスに言われた。
クレナの転職の際、剣帝のスキルは引き継がれた。
お陰で、かなりの数のスキルがある。
スキル欄に剣帝の表示は消え、剣帝の職業レベルはもう上がらないらしい。
もう剣帝としては既存のスキルしか成長できず、新たなスキルを手に入れることはできないのだろう。
職業レベルでスキルレベルが上がる、真豪傑はレベル2のままだと思われる。
竜騎兵は竜に乗ることを前提にしたスキルを得られるようだ。
竜と乗り手を一緒に強化したり、竜に乗っても敵に届きやすい中距離攻撃など便利なスキルが多いようだ。
【竜騎兵で追加されたスキル】
・竜騎兵〈3〉は、竜騎兵の職業スキル
・真騎竜〈3〉は、乗り手と竜の素早さを15パーセント増加させる
・真竜剣〈3〉は、斬撃が伸びて攻撃。竜に乗っても攻撃しやすい中距離攻撃スキル
・真竜爪〈1〉は、竜騎兵のレベルが3になって得られたステータスを増加する
アレンたちは爪の門に改めて向かうと、門を越えた先に既にメガデスが待っていた。
ここは3階層の門番の前だ。
『やあ、久しぶり』
「はい、やってきました。爪の門の門番との戦いに挑戦します」
アレンの言葉にメガデスはどこか嬉しそうだ。
『そうか。じゃあ、始めるとしよう。前も言ったけど、入れるのは挑戦者としてのハクと、乗り手のクレナだけだからね』
念を押さなくても分かっているとアレンは思う。
メガデスの言葉と共に、門に描かれた竜の絵が消えた。
ゴゴゴゴゴッ
門は中央から地面と垂直に亀裂が入ったかと思ったら、地響きを立てながら観音開きに開いていく。
開いた先は、この爪の門3階層にある空間とは別の広い空間が広がっていた。
戦闘フィールドは別にあるようだ。
奥には描かれていたと思われる巨大な竜がこちらを睨んでいるように見える。
「じゃあ、行ってくる!!」
『ガル!!』
オリハルコンの大剣を担ぎ、気合を入れたクレナが扉の中に入っていく。
ハクもクレナの後ろからノシノシと付いていく。
「ちょっと、クレナ、そこで止まって」
扉の中に入った瞬間に戦闘が開始されないことにアレンは気付く。
「う? 何、アレン」
「よし、やったるぞ!!」
アレンがやったるぞ感出して掛け声と共に、当たり前のように扉の中に入ろうとする。
扉は開いているが、何かよく分からない見えないアクリル板のようなものがあり、扉の中には入れない。
バリアのようにアレンの侵入を妨げる。
奥にいる竜もそこまで行かないと戦闘を開始しないようなので、いくつか検証を開始する。
たしかに、クレナとハクしか、中には入れないようだ。
戦闘には参加できないが、応援はできる仕様なのか。
巨大な扉なので仲間たちもアクリル板仕様のバリアのようなものをベタベタと触る。
クレナを戻してみると、普通に扉から出てくることができた。
扉の中にいると補助を掛けることもできない。
扉に入る前に掛けた補助も解けてしまうようだ。
(ほう、これは、完全に応援だけができる仕様なのかね)
前回、メガデスからは挑戦者と乗り手しか、門番と戦うことができないと言ったが、騙されないぞと念入りに確認する。
『なんかすごいよね。3000年前には、そんなことを試す竜人たちはいなかったよ』
黙って見ていたが、メガデスはドン引きしている。
1万人以上で挑戦した前回の門番戦前に、このような検証をする者はいなかったようだ。
「そうなのですね。一度に門番と戦える乗り手は何人でもいいんですか?」
メガデスの呆れ顔を流しつつ、門番への挑戦人数の確認を今一度してみる。
『一度には一組だね』
「え? これから始まるのは殺し合いではないんですか?」
アレンは『一度に』というメガデスの言葉に疑問が湧いた。
当たり前のようにこれから門番と竜とクレナ、ハクコンビで戦うから2度目の戦いがあるとは思ってもみなかった。
『いや、当然の殺し合いだけど、その辺の調整は門番としてくれたらいいよ』
一度に対戦するには挑戦者の竜と乗り手は一組だが、乗り手の補充を利かせる門番は多いと言う。
検証は一通り終わったので、クレナとハクに門番戦の竜と戦ってもらう。
2人は通路を渡り、門番の竜のいる奥の広くなっている空間に向かう。
『ほう、もういいのか』
「うん! お待たせ!!」
『我は光竜エルギアよ。我がブレスを躱せる者はいない故、覚悟するがよい』
最速の光のブレスを吐くらしい。
響くような声で話すので、アクリル板仕様の扉の前にいるアレンたちにも会話が聞こえる。
「固有の名前のある魔獣は久々だな」
「ええ、そうね。勝てるかしら」
ギャラリーのアレンとセシルが会話する。
扉がでかすぎるので、仲間たちは全員扉の前で観戦できる。
「たぶん、大きさ的に100メートルもないからAランクの魔獣だと思うけど」
長い戦いの中で、アレンたちは魔神とも戦えるレベルに到達し始めた。
魔獣の大きさで判断するとクレナとハクのペアで問題ないとアレンは予想する。
『いや、待て。待つのだ。……そのような幼体で我に挑むのか。待ってやっても良いぞ。立ち去るがよい』
クレナの後ろにいるハクの大きさが思いのほか小さいことに気付いたようだ。
門番のエルギアはかなり引いている。
「待つ?」
『そうだ。その体、生まれたばかりではないか。……いつから門番をしているのか忘れてしまったが、そのような幼体で審判の門に挑む竜はいなかった』
エルギアは優しいから許してくれるらしい。
門から出て時が満ちるのも待つと言う。
「ほよ。ハクは強いから大丈夫だよ!!」
『乗り手が愚かだと、竜の未来は明るくないぞ』
『ガルルル!! マンマヲワルクイウナ!!』
クレナの後ろで、ハクは牙を向き、エルギアを睨む。
クレナのことを悪く言ったことが、許せないようだ。
『そうか。言っても分からぬか。ならば、力をもって分からせるとしよう』
仕方ないなと言わんばかりに、エルギアは体を起こした。
喉の下の方からゆっくりと何かがこみあげてくる。
ブレスを吐こうとしているようだ。
エルギアの攻撃に気付いたクレナは、ハクの頭の上で剣を上段に構える。
「させない! 覇王剣!!」
オリハルコンの剣は光り輝きだし、光る柱と変わる。
そして、両断するように一気に振り下ろした。
『がは!? ば、馬鹿な!! 何という一撃だ!!』
剣帝の職業の時に覚えていたクレナの最高の一撃だ。
クレナの一撃は、エルギアの体の巨躯をのけ反らせる。
攻撃を正面から受けてなお、威力そのままにエルギアを吹き飛ばしていく。
エルギアは吹き飛ばされた先から起き上がらない。
パア
クレナとハクが警戒する中、少し間を置いて、アレンたちの前にあったアクリル板のようなバリアが消滅した。
『やはり既に開放者になった竜騎兵の一撃は違うね。爪の門番じゃ、相手にならないか~』
どうやらクレナ、ハクの勝利のようだ。
勝ったおかげで、案内役という立場のアレンたちも門番のいる空間に入ることができた。
ワラワラとクレナたちの元に寄って行く。
「死んじゃったの?」
『ん? ああ、大丈夫。もう少ししたら起き上がるよ』
クレナが起き上がらないエルギアについて、メガデスに確認する。
ハクのために自らと戦わないように伝えたエルギアの身を案じているようだ。
「これで次の階層に行けるってことでいいですか?」
『ああ、そうだよ。次は君たちが最初に行った門を目指すといい。次は牙の門だね』
渦巻き状の半島の最初の遺跡から次の「牙の門」を目指すことになる。
『ぬぐぐ、我は敗れたのか。良い乗り手だったか』
ノソッとエルギアが体を起こした。
状況からも自らが負けたことを理解しているようだ。
(これはどんな感じだ? ゴルディノみたいに、倒されると対戦相手の記憶が飛ぶのか。そんなふうには見えないけど)
なんとなく、発言からもやられる前に受けたクレナの一撃を覚えているようだ。
ダンジョンの最下層ボスなどは、以前の戦いの記憶がリセットされることが多かったが、クレナがとどめを刺していなかったのか。
アレンが考察していると、エルギアの視線がルークの方を向いていた。
首を傾げ、ルークの頭を凝視している。
『お前はファーブル。また挑戦しに来……』
遥か昔にファーブルを見たような口ぶりだった。
『エルギア君。黙るんだよ』
『は!? 申し訳ありません!!』
メガデスの言葉に、エルギアは黙ってしまった。
「ん? ファーブルは一度、この門に挑戦しているのですか?」
いつの話だとアレンは思った。
視線がファーブルに集まっている。
『ああ、仕方ない。ファーブルには手伝ってもらってるんだよ』
困ったとメガデスが頭を抱えている。
「手伝う? 何を手伝っているんですか?」
『それは言えない。まあ、門の運営も色々あるんだ。制約をかけているから、ファーブルは何も言えないと思うよ』
この門の運営にファーブルも噛んでいるらしい。
しかし、何を手伝っているのか、過去の挑戦とは何だったのか言えないことになっている。
「ファーブル、本当なのか?」
ルークが頭にいるファーブルを両手で抱え、目の前に引き寄せる。
『そうだよ、ルーク。何も言えないのよ。だから、ルークもこれ以上挑戦するか自らの意思で決めて頂戴ね。ここからは……』
それ以上話そうとすると、ファーブルは彫刻のように固まってしまい動かなくなった。
『こらこら。ダークエルフの王の息子であっても駄目だぞ。時空神デスペラード様と交わした制約を破ろうなんてよくないよね』
特別扱いするなとメガデスはファーブルに警告をした。
「時空神様の制約ですか」
『そう。ファーブル君は特例でこの場にいる。そのための制約さ。試しの門の攻略は公平じゃないとね』
時空神デスペラードの制約のため、順守は絶対らしい。
「公平ですか」
『大事なことなんだ』
メガデスはだからこれ以上の質問は一切受け付けないという。
(ほうほう、時空神も絡んだ制約の中にファーブルはいるのか。だから、ここにきて随分大人しかったと)
なんとなく、ファーブルが胸に何かを秘めているような気がした。
元気がないように見える違和感の理由に、ファーブルの過去の挑戦が絡んでいたようだ。
メガデスがアレンたちに3000年ぶりだと言っていた。
8000年生きているファーブルがいつ挑戦したのか知らないが、最後の挑戦でも3000年前の話だ。
『……申し訳なかったのだ。これは爪の門を攻略した爪の証だ。受け取ってくれ』
軽率な発言をしたことを謝罪しながらも、エルギアは爪の門攻略の証をアレンたちに渡す。
目の前の地面に紋章のような魔法陣が現れ、こぶし大の輝く竜の爪が1つ浮いている。
エルギアは通常業務に戻るようだ。
「これが、爪の証!」
クレナがガシっと受け取った。
『さて、状況が状況だけど、クレナ君とハク君には新たな力を与えるよ。そういう約束であり決まりだからね』
「ほよ?」
『アウ?』
メガデスの発言と共に、クレナとハクの体が輝いたのであった。
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