第76話 Dランク
アレンは共有のスキルの検証を終えた。
朝から始めたが、ここまでにかなりの時間が過ぎた。既に15時を回っており、干し芋とモルモの実をかじりながら小腹を満たす。
なお、マーダーガルシュに追われた反省から、干し芋、干し肉、モルモの実などの食料1か月分、毛布などの野営道具。松明や火熾しをする魔道具なども完備している。街に何日も戻れないことも想定したものだ。収納の中は時間経過をしないため多少多めに食料を入れておいても腐ることはない。松明も火をつけたまま収納できたので、もしかして火熾しの魔導具はいらなかったんじゃと思っている。
(まあ、1万個以上Dランクの魔石があるからな。今回はサクサクとDランクの召喚獣を網羅できたな)
・形状は蜘蛛の虫Dのステータス
【種 類】 虫
【ランク】 D
【名 前】 スパイダー
【体 力】 120
【魔 力】 0
【攻撃力】 140
【耐久力】 200
【素早さ】 200
【知 力】 125
【幸 運】 60
【加 護】 耐久力20、素早さ20
【特 技】 蜘蛛の糸
・形状は熊の獣Dのステータス
【種 類】 獣
【ランク】 D
【名 前】 ベアー
【体 力】 200
【魔 力】 0
【攻撃力】 200
【耐久力】 128
【素早さ】 80
【知 力】 130
【幸 運】 60
【加 護】 体力20、攻撃力20
【特 技】 かみ砕く
・形状は梟の鳥Dのステータス
【種 類】 鳥
【ランク】 D
【名 前】 ホロウ
【体 力】 76
【魔 力】 0
【攻撃力】 83
【耐久力】 67
【素早さ】 200
【知 力】 200
【幸 運】 160
【加 護】 素早さ20、知力20
【特 技】 夜目
・形状は芋の草Dのステータス
【種 類】 草
【ランク】 D
【名 前】 ジャガバタ
【体 力】 50
【魔 力】 200
【攻撃力】 40
【耐久力】 35
【素早さ】 40
【知 力】 60
【幸 運】 200
【加 護】 魔力20、幸運20
【特 技】 魔力の実
・形状は銅像の石Dのステータス
【種 類】 石
【ランク】 D
【名 前】 ブロン
【体 力】 200
【魔 力】 0
【攻撃力】 180
【耐久力】 200
【素早さ】 100
【知 力】 140
【幸 運】 108
【加 護】 体力20、防御20
【特 技】 身を守る
・形状はシャケの魚Dのステータス
【種 類】 魚
【ランク】 D
【名 前】 ハラミ
【体 力】 80
【魔 力】 200
【攻撃力】 54
【耐久力】 34
【素早さ】 160
【知 力】 200
【幸 運】 170
【加 護】 魔力20、知力20
【特 技】 飛び散る
アレンの目の前には2体の鎧アリがいる。丸いサラダボウルを伏せたような装甲が大きく破壊され、体液が流れている。
その鎧アリの前には体長2.5メートルほどのグリズリーのような茶色の熊がいる。鎧アリに勝利して何か誇らしい。この熊が獣Dの召喚獣だ。
その熊のような召喚獣の横には体長1.5メートル、体高0.6メートルの巨大な蜘蛛がいる。真っ黒な蜘蛛は2本の前足を掲げ、鎧アリに勝利した後も威嚇を続けている。この蜘蛛が虫Dの召喚獣だ。
(よしよし、ベアーのかみ砕くで鎧アリの鎧は砕けると。一撃で圧勝ってわけではないが、その辺はスパイダーとのコンボだな)
砕かれた鎧アリには、糸が絡まっている。虫Dの召喚獣の特技である蜘蛛の糸を使った。
効果は白い粘着性の高い糸を腹部の先から噴射し、その糸が敵に絡みつき動きを止める、または動きを遅くしてしまう。
獣Dの召喚獣は相変わらず攻撃特化の召喚獣だ。
虫Dの召喚獣も相変わらずデバフを担当する召喚獣だった。
虫系統と獣系統の召喚獣は狩りの主要メンバーだ。知力が100を超えてかなりうれしい。
アレンは木の枝に止まる大型の梟を見る。翼を広げれば1.5メートルになりそうな鳥Dの召喚獣だ。アレンを大きな目でじっと見ている。
(あとはホロウの夜目は検証できなかったな。だが、名前のとおり夜に辺りが見えるようになるなら、ホークが日中しか索敵できないのを補ってくれるな。日中は鷹の目で日が沈んだら夜目か)
鳥Dの召喚獣が名前のとおりの特技であることを願いながら、日が沈んだ後検証しようと思っている。
アレンは足元にいるジャガイモに手足が生えた不思議生物を見る。この不思議生物が草Dの召喚獣だ。
(でも良かった、魔力の実は魔力1000も回復するぞ)
魔力の実という名前から魔力の回復薬と予想した。効果を確認するため、魔力を0にしてから魔力の実を使用してみた。梅の実ほどの大きさのその実は、使うと手の中に消える。
そして、魔力が1000回復した。とうとう魔力の回復薬を手に入れた。1万を超えるDランクの魔石があるので魔力の回復には当面困りそうにない。
草系統の召喚獣は、FEの頃から同様に、1度特技を使うと回復アイテムに代わり無くなってしまう。
(これで、マーダーガルシュが襲ってきても魔力で困ることはないぞ)
アレンはスキルレベルを上げるために、魔力消費をかかせない。次の召喚レベル6までに3000万のスキル経験値を必要としているからだ。魔力は時間経過で回復するので全て消費してしまいたい。
魔力の実を常備しておけば何かあった時に対応できそうだ。
(あとは石のブロンか、Eランクのカベオは結局使う機会が全くなかったな。それにしても銅の体なのに石か。こいつが石の範囲に含まれるとは、この異世界の神は心が広いな)
アレンの横には2メートルほどの銅で出来た西洋甲冑のような召喚獣がいる。縦横2メートルにもなる大きな盾を持っている。
アレンの狩りは索敵と移動と狩りを並行するスタイルだ。前世の頃の狩り方で言うなら、移動狩りだ。待ち構えて狩るスタイルではない。このため、石Eの召喚獣も今のところ活用できていない。ホルダーに納めてもいない。
狩り方を変えるつもりがないが、石Eの使い道を考える。
(さてと、これで5体の召喚獣の検証が終わったな。最後はハラミだな。加護は魔力と知力上昇か。知力が上がるのは共有できる魔獣が増えて助かるな)
最後に新たに追加された魚系統の召喚獣の分析をする。
(ふむ魚か、1体作るのに生成と合成で魔石15個も使う件について。これだけ見ると虫と獣は魔石1個で優秀だな。攻撃力や素早さ、体力のステータスが上がるし、序盤で手に入ってよかったぜ)
Eランク以降、召喚獣を生成するのに魔石が必要になった。合成にも魔石を必要とするので、複雑な合成を求められる召喚獣にはそれだけ多くの魔石を必要とする。魚系統の召喚獣に至っては、生成と合成を繰り返す関係で、1体を作るのにとうとう15個もの魔石が必要になった。
必要な魔石の数
・虫系統 1個
・獣系統 1個
・鳥系統 3個
・草系統 5個
・石系統 9個
・魚系統15個
(さて、出してみるか。ハラミ出てこい)
検証のため、1体の魚Dの召喚獣を召喚する。
すると目の前に、カードと同じ絵柄の大きな鮭が現れた。大きさは1メートル近くありそうだ。地面の上でぴちぴちいっている。
「なんか今までで一番使えなさそうだな。デンカを彷彿とさせるな」
思わず声が出る。2年以上かけて新たに追加された召喚獣が移動もできない魚だった。
陸に上がった魚とはこのことだ。
(とりあえず特技を使ってみるか。ハラミ、飛び散るを使って)
すると、魚Dの召喚獣は光る水をまき散らしながら、地面で体をばたつかせる。そして
「おお! 地面の中に入っていくぞ!! ん、体が光ったな?」
魚Dの召喚獣が特技「飛び散る」を使うとともに、地面の中へと潜るように溶け込んでいく。背びれと背中の部分が少し地面から見えている。魚Dの召喚獣が地面を悠然と泳いでいる。
そして、魚Dの召喚獣が地面に潜ろうと体をばたつかせた際に、水しぶきが上がった。この水しぶきがかかりアレンの体が淡く光ったのだ。
(体の光は収まったな。何か変化があるのか?)
アレンは魔導書でステータスを確認する。
「おお、回避率がついている!!」
ステータス欄の名前のところに今までない表示がある。
【名 前】 アレン 物理魔法回避上昇
名前欄の横に今までない表示があり、物理と魔法の回避率が上昇している。
(魚はバフを使うのか。さっき他の召喚獣にも水しぶきがかかったな。これは俺の他にも、50メートル以内にいる全ての召喚獣に効果があるとみていいのか)
検証している全ての召喚獣が光ったように見えた。木に止まる鳥Dの召喚獣まで範囲があるようで、かなり広い範囲に効果があると考える。50メートルの範囲で何かが決まることが多いので、この効果の範囲も50メートルと予想する。
(だが、助かるな。魔獣に殴られてやられることもあるからな。これで魔石の消耗も抑えられそうだ。効果の持続時間も調べていかないとな)
新たに加わったDランク召喚獣の分析を進め、戦術の幅を広げたいと思うのであった。
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