5月7日Ⅹ(5)

蘆花さんを見送って私たちは、中庭にある自販機へと向かっていた。

「よくそれっぽい話をでっちあげられるね」

「それ褒めてる?」

詩歌は私にジト目で見つめてくる。

「何て言うべきかってのは、今日一日中考えてたからね。ただ、」

詩歌はそこまで言って良いよどんだ。


「ただ、私あの子の相手苦手かも」

詩歌は珍しく低めなテンションで言う。

「詩歌が苦手な人なんているの?びっくり」

「私だって苦手な人は普通にいるよ?」

詩歌は、はにかみながら笑って言う。

「どこが苦手なの?すごい良い子みたいだったけど」

「んー、逆にそこが苦手かな。今まで接して来たことないようなタイプで、ちょっと距離感が苦手かなぁ」

詩歌は頬を掻きながら私に言う。

「架那ちゃんは良いんだけどねぇ・・・」

「何じゃそりゃ」

ふふふって二人で笑い合う。


「だからもしまた蘆花さんのところ行く時が会ったら、次は私はパスさせて欲しいなぁ、って」

「うん。わかった」

自販機からガラガラッと音を立てて落ちて来た水を拾いあげ、私たちは教室へと戻った。

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