5月7日Ⅹ(3)

「架那ちゃん、行くよ!」

「あ、うん。行こ」

4限の授業が終わり昼休みになるとすぐに詩歌が私の席へとやってきて、私の手を引っ張る。

「蘆花さんって12HRなんだっけか」

「うん。国際科って言ってたからそうだよ」

詩歌は私に頷く。

私たちは揃って階段を下って、12HRへと向かっていった。


「佐藤さん、呼んでもらえる?」

「あ、うん」

詩歌は物怖じせず12HRの窓際の生徒に声をかけると佐藤さんを呼んでもらう。

クラスの中央あたりで声をかけられて立ち上がった人が佐藤蘆花さんだろう。

ぱっと見の印象としては、大和撫子と形容するのが1番だと思う。

腰あたりまで綺麗に伸びた黒髪が特徴的で、黒縁の丸い眼鏡をかけている。

しかし顔立ちが整っているからか、野暮ったい印象はあまりない。

歩き方も姿勢が整っているところを見ると、何か茶道や華道などをやっているのだろうか。

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花という奴だ。


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