5月7日Ⅹ(1)

…今日は学校か。

ゴールデンウィークと佐藤さん事件が重なったせいでいまいちいつも通りの日常感が取り戻せない。

いけないいけない。

今日は愛奈さんの依頼をこなさなきゃいけないんだった。

がんばろ。


「おはよ!架那ちゃん」

「おはよ」

久しぶりの日常感を取り戻すことができたのが、まさかこの詩歌との挨拶だとは、誰も思わなかっただろう。

「昨日までがハードすぎて、今日も休みかと朝思っちゃったよ」

「ほんとそう。夏休み明けての終業式の気分」

「その例え天才!」

詩歌に褒められ、照れ臭さから頬をかく。

ともあれ、いつも通りの感覚が戻ってきたのは確かだ。

このまま頑張ろう。

おー。


「ねえ詩歌」

「何?」

詩歌は首を傾けながら私を見つめてくる。

「佐藤蘆花さんのところ、いつ行こうか」

「あー。うーん」

詩歌は右人差し指を唇に当てながら思案する。

「今日のお昼にでも行く?朝は居るかわかんないし、放課後だと早く帰っちゃうかもしれないし」

「そうだね。そうしよっか」

詩歌の珍しくまともな意見を採用し、今日の昼に佐藤蘆花さんのところへ向かうことになった。

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