5月6日Ⅹ(13)

「知り合いっていうか、受験の時に面接が同じグループだった」

「そんな時の人よく覚えてるね、詩歌」

「記憶力だけは良いからね」

詩歌はふふんと自慢そうに応える。

「どんな感じの人だった?」

「んー。一言で言うと、大人しい子、かな。あ、いや別に悪い意味てことじゃ無いよ」

詩歌は胸の前で手を左右に振りながら言う。

「なんというか、今まで私が接してきた感じのタイプじゃなかったなぁ。自分より周りを優先、みたいな」

「なるほど」

私はおずおずと詩歌に頷いた。

自分をあまり前に押し出さない、奥ゆかしい感じの子なのかな。

お姉さんだと言う佐藤さんとは対照的な。


「ではとりあえず、お二人は明日の火曜日、蘆花さんに今回のお話しをしてください。ですが、佐藤実花が黒幕だったと言うことは黙ったままでお願います」

愛奈さんは私たちに小さく頭を下げながらお願いする。

「わかった。任せて」

「私も頑張るね!」

「私が違う学校なばかりに…。ありがとうございます!」

愛奈さんは私たちに再度頭を下げた。

明日は私の貧弱コミュ力でがんばるぞい。

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