5月6日Ⅹ(12)

「ではもう一度状況の整理をさせてもらいます」

汀さんはベッドから上半身を起こしながら言った。

「まず今回の一件ですが、黒幕は佐藤実花です。彼女は今回の騒動で自らの偽装死を作り上げようとしていたものと思われます」

「私たちがそれに気付いたことは、佐藤には伝わっているのでしょうか?」

「恐らくですが、勘付かれているのではないかと思います。そうすると佐藤は今後身分を隠した状態で我々に近づいてくるでしょう」

「佐藤さんの得意分野が変装だから、ですか?」

「そうです架那様」

愛奈さんと情報の交換をし合っていた汀さんは、私の質問に相槌を打つ。

「そうすると、佐藤のことを一番わかっている蘆花よしかさんが心配ですね」

「ええ、彼女は今後我々の元で匿う必要があると思います」

「あの、蘆花さんって誰ですか?」

汀さんと愛奈さんの二人ですいすい進む話を、私が遮って尋ねる。

「もしかして12HRの佐藤蘆花さん?」

「そうです詩歌さん。もしかしてお知り合いでしたか?」

面識がありそうな物言いの詩歌に、愛奈さんが尋ねる。

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