5月6日Ⅹ(10)

「愛奈さん、病院ってどこにあるの?」

「この建物から裏手に徒歩15分ほどのところです」

「近いじゃん! じゃあもう行こうよ!」

私の質問に対する愛奈さんの答えを聞いて、詩歌が身を乗り出しながら愛奈さんに息撒きながら言う。

「そうですね、もう向かってしまうとしましょうか」

「うん!」

詩歌は立ち上がりながら満面の笑みで頷く。


「ほんと詩歌は汀さんのことになると、凄いよね」

「師範のこと大好きだからね! 勿論架那ちゃんの次に、だけど」

「…っ、ばか」

詩歌を弄るつもりが、まんまと詩歌の手玉にとられて返されてしまった。

全くそう言うことすぐ言うんだから…。

「ふふ。お二人とも益々仲が良くなっていて、羨ましい限りです」

愛奈さんは俯瞰したように優しく微笑む。

「そういえば詩歌は愛奈さんとも、前に比べると凄い距離縮まったよね」

「本当ですか?詩歌さん!」

「三和さんは今回の一件で嫌いじゃなくなったってだけ。別に普通」

喜びながら詩歌を見つめる愛奈さんにぞんざいな返事と共にそっぽを向く詩歌。

詩歌が愛奈さんとしっかり仲良くするのは、まだまだ先みたいだ。

ツンデレなんだから。

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