5月6日Ⅹ(7)

「おはようございます、架那さん」

「おはよう愛奈さん」

詩歌がお風呂に向かってしばらくすると、愛奈さんが二階から降りてきて、台所に立つ私に挨拶をする。

「詩歌さんはどちらに?」

「今さっきお風呂に行ったよ」

「そうですか。では私も行ってまいります」

「はーい」

愛奈さんはとてとてと、少し覚束ない足取りで浴室へと向かう。

詩歌も愛奈さんも、朝風呂派なんだなぁ。

私朝は弱いから、ムリだなぁ。


「今戻りました!」

先ほどとは打って変わって、眩しいいつも通りの笑顔を浮かべながら、愛奈さんがキッチンへ戻ってきた。

お湯に濡れて艶やかな金色の髪が、朝日を反射して眩しい。

「はぁ、朝から元気すぎでしょ・・・」

後から来た詩歌が、珍しくげっそりした顔で小さく言う。

「ど、どうしたの?」

「詩歌さん成分を補充させてもらいました!」

私がおずおずと尋ねると、愛奈さんは笑顔で答える。

詩歌成分ってなんぞや。

「もう三和さんとお風呂入らない・・・」

詩歌は再度小さく呟くと、椅子に深々と腰掛けた。


「ま、それはともかく。朝ご飯にしよっか」

「「はーい」」

二人は、てきぱきと食器やお箸を机の上に並べていく。

まずはご飯食べなきゃね!

1日が始まらないよ。

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