5月6日Ⅹ(1)

「架那さん、あと5分で着きます!」

「ありがとう愛奈さん!」

慎之助さんのチャーターしてくれたクルーザーで1時間半程太平洋を揺られ、早くもあと5分で熱海へ着くらしい。

「詩歌さんと汀、無事だといいですね」

「うん、無事でいて欲しいね」

私たちは、夜にさんざめく星に願いを託しながら、夜空を静かに見つめた。


「架那さん!あれ詩歌さんではないですか!?」

「ほんとだ! おーい! 詩歌!」

愛奈さんの指した方向を、首を伸ばして見ると、海岸線上に立っている詩歌を見つけた。

「詩歌さーん! おーい!」

詩歌に手を振る私につられて、愛奈さんも一緒に手を振る。


「架那ちゃん! 三和さん!」

詩歌も、大きく手を振る私たちに気づいて大きく手を振り返した。

詩歌に見届けられながら、船はゆっくりと海岸線に近づいて、泊まった。


ズズズ、と大きな音を立てて、船から梯子が海岸に架かる。

私は梯子が降りると直ぐ、急いで梯子を駆け降りた。

「お帰り! 架那ちゃん!」

「ただいま! 詩歌!」

私たちは互いに勢いよく抱きつき合った。

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