5月5日ⅩΩ(31)

「敵は現在、贖罪の山羊スケープゴートと抗戦している模様。状況はこちらの劣勢です」

「なるほどね、わかったわ」

女は部下からの報告を聞き、妖艶に舌舐めずりをする。

「今のところ上出来、ね」

女は楽しそうに笑う。

「さあ、私を止められる者は現れるのかしら」

ふふふ、と謀が成就した狩人のような、不適な笑みを浮かべならが、女は笑った。

「これからが楽しみですわね、架那ちゃん、詩歌ちゃん、それに愛奈ちゃん」

傾き始めた月が、笑う女の姿を妖しげに照らし出していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る