5月5日Ⅹθ(30)
「つっ…」
間一髪、師範を真横に押し飛ばした私の方が早かったのか、弾は私の左肩を掠めて飛んでいった。
「逃げるぞ神坂!」
師範は私を背負って、次々撃ち込まれる銃弾から逃走を図った。
幸い弾は詰め込まれた6発しかなかったようで、しばらくすると銃弾の雨は収まった。
「大丈夫ですか師範!」
「ああ、私は問題ない。それよりお前はどうだ」
「私も2発掠めただけでこの程度差し支えありません。縛れば出血も治ります」
心配する師範に笑顔で答えると、私は服の裾を掴んで引きちぎると、左腕の着弾場所を固く縛り付ける。
「一般人のふりをして紛れ込んで、不意を狙う算段だったと言うことか」
師範は怒りを滲ませる声で静かに呟く。
「戦えるか?神坂」
「ええ、問題ありません」
伸ばされた師範の右腕を掴んで立ち上がる。
その時に、落ちていた木刀も拾い上げた。
「なら、行くぞ!」
「はい!」
私たちは揃って、暗殺者に向けて走り出した。
暗殺者も、銃を投げ捨てて、2本のダガーに持ち替えた。
絶対に負けてたまるものか!
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