5月5日Ⅹθ(29)

愚直に殴ったり蹴ったりしてくる相手は、捌いて突き技を。

武器で襲ってくる相手には、投げ技から関節を極める。

たまにいる、格闘技経験者と思われる人には、それらを組み合わせて、大外刈りで床に叩きつける。

私が投げても、まだ動く意思がある相手は、師範がゴム弾銃で援護射撃をして、完全に眠らせる。

流れ作業のように、敵を相手とっていたら、残り30人程度となっていた。


「勝ち目なさそうだけど、どうする?まだ続ける?」

「一旦帰るぞ!」

「お、おう!」

「覚えとけよ!」

悪キャラのテンプレみたいなセリフを言い残してかれらは去っていった。

「いつでもどうぞ〜」

「アホか」

「いてっ!」

調子に乗って、逃げる彼らに手を振っていたら、いつのまにか戻ってきていた師範に頭を叩かれた。


「例の暗殺者さん、きませんね」

「ああ、どうしたのだろうか」

私たちは当たりを見回して言った。

「とりあえず館内を一周するか。まだ残党がいるかもしれん」

「了解です」


銃を右肩に背負い直して歩き出した師範を追って、わたしも歩き出そうとした瞬間。

突如、右後方で音が聞こえたと思って振り向いたわたしの目に、起き上がってこちらにハンドガンを構えていた一人の女の姿が映った。

「師範っ!」

瞬間、パァンッと、乾いた火薬の破裂音が部屋にこだました。

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