5月5日Ⅹθ(27)

木刀を持って走って来る相手は、内側に捌きいて相手の腕をつかみ、少し相手の腕を伸ばすようにして相手のバランスを崩す。

そして足を踏み込みながら、相手の腰がかえる方向へ腕を捻り、掴んだ相手の腕を自分の目の前を通すようにして腋をくぐる。

その勢いのまま相手の背中の方へ掴んだ腕を落とし相手を投げ飛ばす。

これも師範から教わった四方投げだ。

素手の私に油断していた相手が、私に反撃する暇もなく一瞬で投げ飛ばされる。


なんだか100人組手をやらされている気分だ。

師範の言うとおり、受け身の技である合気道は、あまり体力を使わずに、大勢を開いて取れる分、柔道より優秀かもしれない。


「どうしたの?よってたかってもたった一人を倒せないの?」

「この女!」

怒りに支配された攻撃は単調で読みやすい。

単純な袈裟斬りか。

「ふっ!」

私は半身になりながら右斜め前方へ身体を進ませると、前に出た右足を足払いで崩す。

「なっ!?」

下半身に力を入れていなかったのか、面白いように簡単に崩れる男の手首を掴むと、鳩尾に正拳突きを叩き込む。

「ぐあっ」

男は握っていた角材を手から落として崩れ落ちた。


後半分程度か。

まとめて倒してやる。

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