5月5日Ⅹθ(26)

作戦通り、師範は吹き抜けになっている一つ上の階の廊下に。

私は吹き抜けになっている、入り口が正面にある広い廊下で待機をする。

そこへ向かうと、怒声を上げながら走り込んでくる集団が否応にも目に入ってきた。

「おい、あれ三和愛奈じゃねえか?」

「一人でいるぜ、余裕だな」

「やっちまえ!」

彼らは口々に叫ぶと、私に向かってバットなどを振りながら走ってきた。


「師範の仇、絶対に許さない! かかってこい!」

私は重心を低く、構えた。


走ってくる先頭の男の体を捌きながら、相手の後方へと素早く回り込む。そのまま相手の肩口をつかみ、自分の懐へと引き付ける。片手で顎を上げ、相手の背中の方へ思い切り倒す!

「うぐぁあっ!」

相手は、受け身も取れずに勢いよく背面から地面に叩きつけられる。

師範から教わった合気道の基本技、入り身投げだ。


「ひ、怯むなぁっ!」

一瞬で大の男が投げ飛ばされた絵面に驚いたのか、一瞬彼らの勢いが止まるも、すぐにまた走り出した。

「やられたい人からかかって来い!」

何人だろうと、私が止めてやる!



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