5月5日Ⅹθ(25)

二階堂紗良、何ものなんだ。

どうしてこの変装を見破った?

ああもう!変なこと言い逃げしないでよ!


「神坂!もう変装は解いたか!?」

「いえ、まだです!」

二人がこの部屋を後にしたのを目視してから、師範が私に問いかける。

「だったら変装は解かずにそのままで良い! 敵がお前を愛奈様だと勘違いしたまま襲ってくれば、こちらにとって都合がいい!」

「了解しました!ならこのままで行きます!」


師範は、私に指示を出すと、私の方へ歩いてきた。

「良いな、神坂。今のお前は、以前とは比べ物にならないほど成長している。それは私が断言できる」

「ありがとうございます」

師範は私の緊張をほぐそうと、優しく私に話かけてくれる。

「だから私は、今回安心してお前に背中を預けられる。勝てよ、神坂詩歌」

「はい!!!」

師範は私の肩をぽんっと叩いて、優しく微笑むと、勢いよく廊下に向けて走り出した。


ありがとうございます師範、いえ汀さん。

貴女はもう死なせません!

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