5月5日Ⅹθ(24)

その刻は突然だった。

ぶつんっと、室内の明かりが一斉に消える。

「きゃあっ、何起こってん!?」

真っ先に声をあげたのは四咲未来だった。

やっぱりこの人は何も関わっていないのか?

いや、でも。

ええい、細かいことは後回しだ。

全部が終わったところで架那ちゃんに任せれば良い。


「四咲未来さんと、二階堂紗良さん!二人は揃って早くここから逃げて!」

私はポケットの中に予め入れてきた、皮膚の防御用の指はめ手袋を着用する。

「わ、わかった。やけど、三和はんと汀はんはどないすんの?」

「私たちは自分の身は自分で守るから。だから早く!」

食い下がる四咲未来に、私は声の限りさっさと退くように指示する。

敵か味方かもわからない人に、出来る限り残っていて欲しくないと言うのが本音だ。

「未来ちゃん、ここは愛奈ちゃんの言うとおり任せよ! うちらじゃ足手纏いになるのが良いオチだよ」

「そうやな、わかった。やけど、気おつけてや!」

四咲未来と二階堂紗良は揃って、出口に向かって走り出した。

「頑張ってね、詩歌ちゃん」

別れ際に私の横をすり抜けた二階堂紗良は、ポツリと呟いてこの場を去った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る