5月5日Ⅹ(20)

「君はまだ若いのに立派な御仁だそうじゃないか。

 これからも愛奈をよろしく頼むよう、今日これていない神坂くんにも宜しく言っておいてくれ」

「はい」

私は慎之介さんに大きく頷いた。

会話の最中、愛奈さんは終始恥ずかしそうにしていた。


「じゃあ話はこれくらいにして食事にでもしようか。育ち盛りだから腹が空いているだろう」

慎之介さんは奥から使用人の人を呼び、料理を持ってこさせる。

「わざわざありがとうございます、お父様」

愛奈さんは慎之介さんにお礼を言っている。

愛奈さんは娘だからいいだろうけど、こういう場合って私は一緒に食べてもいいのかな。

いやでも断ると逆にまずいか?

「楠木くんも気にせず好きなだけ食べるといい」

私の考えを察してか、慎之介さんは言う。

「ありがとうございます!」

私が頭を下げると慎之介さんは嬉しそうに笑った。

愛奈さんも同じように、ふふふと楽しそうに笑っていた。

そんな二人を見ていると、お互い良い親子だなと思った。

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