5月5日Ⅹθ(16)

「三和はんに、汀はん。ようこそ遠うからいらっしゃった」

会場に足を踏み入れた私たちを、四咲未来が笑顔で迎え入れた。

「本日はお招きいただき誠にありがとうございます」

私は、全力で三和さんに近づけた喋り方を心がける。

私がお辞儀をすると、師範もほぼ同時にお辞儀をする。


ここにくる数分前、自分で外してしまった変装道具を再度つけ直し、できそうになかったコンタクトを師範につけてもらった。

コンタクトのせいで、視界が左右で赤と青の色をしていて、かなり見づらい。


「ほな、立ち話もなんどすさかい、こちらへどうぞ」

四咲未来に案内され、私たちは件の女子会場が開かれる部屋へと招かれた。

私たちが席に着くと、先に来ていたのか、二階堂紗良が一人で座っていた。

私たちが今いるのは、四咲グループの子会社が晩餐会などで使用するホールらしく、日付上の昨日の晩餐会場にも引けを取らないような大きさだ。

ただ前回と違うのは、広間の中央に私たちが座っている椅子が置かれた大机が一つ配置されていて、食事のカートがその後ろにバイキング形式に並んでいるため、部屋の6割近くは使われていないという点だ。

この配置等は、前回私として来た時と変わってはいないようだ。


「じゃあ、みんな揃ったみたいだし始めよっか」

「そうどすなぁ」

「はい」

こうして、女子会は幕を開いた。

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