5月5日Ⅹψ(14)
「失礼いたします」
私は、障子の前で一礼すると、静かに部屋の中へと入りました。
「久しぶりだな、愛奈。元気か」
「ええ、私はなんとも。ですが、お父様はお体が優れないと伺ったのですが、大丈夫なのですか?」
「ああ、なんとかな。前置きはいいから、さっさと本題に入ろう。その方がお前も楽だろ?」
「ええ、お気遣い感謝いたします」
お父様は、私の胸中を見透かしたかのように的確に言いました。
「まだ確証はないのですが、以前から噂されていた四咲家の鼠、と言うのが佐藤、佐藤実花かもしれません」
「ほう。そう考えた理由は?」
お父様は私に話の続きを促します。
「四咲グループに、三和家からの外部圧力がかかったらしく、昨日5月4日に、ある四咲グループの子会社が倒産。社員たちが一斉抗議を行なっていると、本日、河津に詩歌さんと向かっていた汀から連絡がきました」
「三和からの外部圧力?そんなもの聞いていないが」
お父様は不思議そうに首を傾げなかがら、私に問いました。
「ええ、そこがポイントなのです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます