5月5日Ⅹθ(10)

「すみません、今これってどういう集まりなんですか?」

私は、抗議集団の一番後ろにいたOLさんに話しかけた。

「貴女、学生さんよね?ご家族の誰かの代わりに抗議に来たの?」

「まあ、そんなところです」

私は曖昧に返事をする。

「今ここに集まっているのは、四咲グループの子会社だった『サウ・ガールズ』の元社員たち」

OLさんは、私に説明をしてくれるらしい。

「元社員というのは?」

「そのままの意味よ。私たちは昨日一斉リストラを言い渡されたの」

「なるほど」

大規模なリストラで無職になった人たちってことか。

「それが如何して三和家反対という活動に?」

「あそこ、一番最前列にいる男の人。鈴木さんっていうんだけど。鈴木さんが、社長にリストラ理由を尋ねたの。どうしてですかって」

「それで?」

「社長は言ったわ。元々不仲であった三和家からの外部圧力が四咲本家にかかったせいで、私たち末端の会社から削っていくということになった、と言われたわ」

OLさんは深くため息をつきながら言った。

「だからこうしてその原因である三和家のご令嬢様が今日ここに来るってのを聞いて、抗議に来てるってわけよ」

「ありがとうございます。よく分かりました」

「そう?ならよかったわ」

私は、OLさんにペコリと一礼すると、小走りで師範の元へと走っていった。

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