5月5日Ⅶθ(16)

どうしよう。

え、ほんとにどうしよう。

架那ちゃんを守ったら師範が襲われて。

師範を助けるためにきたら架那ちゃんが襲われて。

どうしようもないじゃん。

しかもどこに連れてかれたのかわかんないって。

どうしようもないじゃん。

神様でも仏様でもなんでも構わないから。

必要なら私の命なんていくらでも賭けるから。

だからお願いします。

架那ちゃんは。

架那ちゃんだけは助けてください。


いるかもわからない神にみっともなくすがっていたその時。

トゥルルルンと、広い廊下に私の携帯の着信音が鳴り響いた。

こんな時に誰?

もしかして架那ちゃん?

「架那ちゃんから電話!」

着信主は予想が的中した通り、さらわれた架那ちゃんだった。

「できる限り情報を聞き出せ!」

アドバイスをくれた師範に頷くと私は急いで電話に出た。

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