5月4日Ⅵ(11)

「身支度は整いましたか?」

佐藤さんに手伝ってもらいながら、どうにかドレスを着ることができた時、愛奈さんが衣装部屋へと入ってきた。

愛奈さんは先に着替えていたのか、黄金色の髪が映える純白のドレスに身を包んでいた。

「よくお似合いです愛奈様」

私の髪のセットを行なっていた佐藤さんが、作業の手を止め愛奈さんに言う。

「ありがとう佐藤。お二人の準備はそろそろ終わりそうですか?」

「はい。楠木様の髪のセットは直に終わります。神坂様のセットを含めても10分はかからないと思います」

「そう。わかりました。ではお願いしますね」

「はい」

愛奈さんはペコリとお辞儀をして部屋を後にした。


「お二人とも良くお似合いですよ」

宣言通り10分で私たち二人のセット終えた佐藤さんがそう褒め称える。

「架那ちゃん綺麗!プリンセスみたい」

詩歌が椅子から身を乗り出して言ってくる。

ドレスでそんなことしたら胸の強調がすごいからやめなさい。

「ありがと。詩歌も綺麗だよ」

「えへへありがと」

お世辞抜きに詩歌はとてもドレスが似合っている。

胸がなくて胸元にパッドを詰めている私なんかとは大違いだ。


「では愛奈様がお待ちですので行きましょうか」

佐藤さんが立ち上がりながら言う。

「足元にお気をつけくださいね」

「「はい」」

そうして、慣れない正装に身を包み、いよいよ晩餐会が始まろうとしていた。

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