5月3日Ⅵθ(2)
「エイッ!」
気合と共に突いた拳が師範のもつ瓦を割る。
「なかなか上達したな。やはり見込み通りの見込みが早くて助かる」
「ありがとうございます」
私は師範に頭を下げる。
「ひとまず飯を食おう。それからは柔道に入るぞ」
「はい!」
ひとまず空手の技術は許しをもらえるレベルにはなったらしい。
よし。
師範が奥から取ってきたのは、カロリーマイトのゼリー版だった。
「とっとと食えよ」
師範はそう言ってグーっと勢いよく飲み干す。
私もそれに倣って勢いよく飲み干した。
あ、意外とこれ美味しい。
「ちなみに明日は学校終わり次第熱海にある愛奈様の別荘へ向かう。
そこで一日最終稽古だ」
師範は飲み干したゼリーのゴミを集めながら言う。
「何かあるんですか?」
「明日5月4日の18時、旧財閥五家が集まって晩餐会を行う。
そこに愛奈様、楠木架那、神坂に参加してもらう」
まさかそこで。
「ああ、そのまさかだ。
おそらくだが力量を図るために四咲家が使いを送ってくる可能性がある。もし奴らが襲ってきた場合、神坂は奴らを撃退しろ」
「了解です」
なるほど。
そのためにこんな急に稽古をつけることになったのか。
「そうとわかればさっさとやるぞ」
「はい!」
そうして武道武者修行後半戦が始まった。
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