5月3日Ⅵθ(1)
ジリジリと、私の気持ちなんてお構いなしに目覚まし時計は非情に起床時間を告げてくる。
「もう朝か」
私はそう呟くと、眠たい目を擦り重たい身体を起こす。
昨日はあの後4時間みっちり空手の技を身体の芯に叩き込まれた。
ちなみに夕食はカロリーマイト。
山籠りか。
やったことないから知らないけど。
ただ、汀さんもとい師範の指導はわかりやすく、ああ言う粗雑な言い回しとは対照的に肉体言語で会話するタイプの人間ではなかったらしい。
師範にそう言ったら回し蹴りを叩き込まれたが。
はぁ。
今日も放課後稽古かぁ。
頑張るかぁ。
今日学校で架那ちゃんに体調を心配された。
「大丈夫!」と答えたものの、納得してくれたとは思えない。
後2日の辛抱だから大丈夫なのに。
架那ちゃんは心配性だなぁ。
「行くぞ」
今日も学校からの帰り、師範のバイクに乗って道場へ向かう。
今日明日は遅くなると言う連絡はもう親に入れてある。
「稽古辞めたければ好きにしろ」
私を気遣ってか、師範がそう告げる。
「いえ、辞めません。これからもお願いします」
私の言葉が聞こえたのか聞こえてないのか、師範は何も言わずに夜の道にバイクを淡々と飛ばしていった。
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