5月1日Ⅵ(16)

二人が戻ってきて時計を見るといつの間にか時はながれ、もう朝の五時頃になっていた。

「そろそろ寝るフリしとかないと架那ちゃんと朝チュンできないや」

詩歌がそうぼやく。

「朝チュン私もしてみたいです!」

おいそこのバカ二人。

JKが朝から朝チュンって言うな。

恥ずかしい。

「何バカなこと言ってるの。

 そろそろ学校の支度して朝ご飯の準備するよ」

私はすっくと立ち上がる。

「はーい。じゃあカバンいじってくる〜」

「私は架那さんのお料理を手伝わせていただきます」

詩歌は隣の部屋にあるカバンの準備へ、愛奈さんは台所へ向かう私についてきた。


朝ご飯なんにしよ。

てか、おばあちゃんに愛奈さんのことなんて説明すれば良いのだろうか。

びっくりするだろうなぁ。


「愛奈さん卵4つ取って、醤油とお箸机の上に並べておいて」

「わかりました」

私の指示にテキパキと作業をこなしてくれる愛奈さん。

「アニメみたいに、お嬢様は料理なんてしたことないからわかんないって言うか

 と勝手に思ってた」

「多分そんなことはないですよ。

 あれはキャラ作りってやつだと思います」

「なるほど」

本物のお嬢様が言うと説得力が違う。

そっかぁ。

なんか私の中のお嬢様イメージとは違ったけど、これはこれで。

「お仕事できるエプロンお嬢様もいいねぇ、って思ったでしょ」

スッと後ろを通った詩歌が呟いて去っていく。

「まあ、嬉しいです」

「まだ言ってないから!」

うふふと愛奈さんは楽しそうに笑う。

もう。詩歌の意地悪め。

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